住友商事、2期連続で過去最高益を更新 大型EPC案件の建設進捗等により非資源ビジネスが伸長

2019年5月27日 22:03

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記事提供元:ログミーファイナンス

1.2018年度 実績(当期利益)

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兵頭誠之氏:みなさま、たいへんお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、2018年度の決算、2019年度の利益計画、そして中期経営計画2020の進捗状況について、私からご説明させていただきます。

最初に、2018年度の決算についてご説明します。昨日(2019年5月9日)アナウンスしたとおり、2018年度の当期利益は3,205億円となりました。これは、前期と比べて120億円の増益となり、2期連続で過去最高益を更新したことになります。

一過性の損益について見ますと、当期は第3四半期にマダガスカルのニッケル事業で減損損失を計上したことなどにより、80億円の損失となりました。一方、前期は米国税制改正の影響などにより230億円の利益があったため、反動により前期と比べて310億円の減益となりました。

これらの一過性を除いた業績で見ますと、当期利益は3,290億円となり、前期と比べて440億円の増益となりました。

(スライドの表の)下段に、一過性を除く業績について、資源ビジネスと非資源ビジネスの内訳を記載しています。資源ビジネスは610億円で、前期と比べて50億円の増益となりました。これは主に、資源・化学品の上昇により、豪州石炭事業などで増益となったことによります。

非資源ビジネスについては2,680億円で、前期と比べて390億円の増益となりました。これは、北米鋼管事業が市況回復に伴って増益となったことや、アジアにおける大型EPC案件の建設が進捗したことなどに加え、不動産事業が堅調に推移したことによるものです。

四半期ごとのトレンドで見ますと、非資源ビジネスは、不動産事業で引き渡しが集中したことや、季節性のある農薬ビジネスの余韻などもあったことから、第1四半期に利益が集中しましたが、それらを除くと、年間を通して安定して利益を出したといえると思います。

2.2018年度 実績(キャッシュ・フロー/財政状態)

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キャッシュ・フローおよび財政状態についてご説明申し上げます。当期のフリーキャッシュ・フローは、2,176億円のキャッシュインとなりました。

主な内容は、基礎収益キャッシュ・フローにおいて、コアビジネスが着実にキャッシュを創出したことなどにより、2,900億円のキャッシュインとなりました。続いて、資産入替では、米国タイヤ事業のTBCの再編や、インドネシア商業銀行(BTPN)の売却などにより、2,400億円の資金を回収いたしました。

その他の資金移動は、ビジネス基盤の拡大に伴う運転資金の増加などにより、1,200億円のキャッシュアウトとなりました。また、投融資は、インドにおける特殊鋼事業や、チリにおけるケブラダ・ブランカ銅鉱山の権益取得、フランスにおける洋上風力発電事業への参画などにより、3,000億円のキャッシュアウトとなりました。

(スライドの)右側の財政状態については、総資産が前期末と比べて1,500億円増加し、7兆9,000億円となりました。営業債権や棚卸資産の増加、円安の影響による増加があった一方で、米国タイヤ事業の再編に伴う減少などがありました。

株主資本は、主に当期利益の積み上げなどにより、前期末と比べて2,000億円増加し、2兆8,000億円となりました。これらの結果、ネットD/Eレシオは前期末から0.1ポイント改善し、0.9倍となりました。

3.2019年度 通期予想

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2019年度の通期予想についてご説明いたします。今後の世界経済は、米中通商問題や英国のEU離脱問題など、先行き不透明感やリスクはあるものの、当社としては、当面は米国を中心に緩やかな成長が続くと見込んでいます。

このような環境下で、当社の2019年度の当期利益見通しは3,400億円としており、3期連続で過去最高益を更新することを目指してまいります。

通期見通しの3,400億円を、資源ビジネス・非資源ビジネスで分けて見ますと、資源ビジネスは440億円となり、前期と比べて170億円の減益見通しとしております。これは主に、一般炭などの資源価格下落の影響に加え、当社が手がけているボリビア銀・亜鉛・鉛事業の生産数量が減少することなどによるものです。

非資源ビジネスは2,960億円となり、前期と比べて280億円の増益見通しとしております。リース事業や、米国タイヤ事業などの再編効果による利益の押し上げ効果に加え、建機・不動産事業などの既存ビジネスが引き続き堅調に推移すると見ております。

4.配当⾦

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配当金についてご説明いたします。2018年度の年間配当金は、連結純利益実績3,205億円を踏まえ、1株あたり75円とする予定です。中間配当金は37円でしたので、期末配当金は38円となります。

2019年度の年間配当金は、通期予想3,400億円を踏まえ、普通配当を1株あたり80円とすることに加え、創立100周年の記念配当として、1株あたり10円を中間配当に合わせて実施することで、合計90円とする予定です。創立100周年を迎える節目の年にあたり、株主のみなさまの長年にわたるサポートにお応えする手段として検討を重ねた結果、記念配当がふさわしいと判断しました。

1.全体像

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ここからは、中期経営計画2020の進捗についてご説明申し上げます。当社は2018年度より、「新たな価値創造への飽くなき挑戦」をテーマに、本中期経営計画に取り組んでいます。本日は、定量面の進捗、ならびに成長戦略推進の取り組みについてご説明申し上げます。

2.中期経営計画2020の進捗(主要経営指標)

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まず、定量面の進捗についてご説明します。当期利益については先ほど説明しましたが、効率性指標であるROAとROE、またコア・リスクバッファーとリスクアセットのバランスも、ご覧のとおり、計画に沿って推移しています。

キャッシュ・フローにつきましては、2018年度は3,000億円の投融資を実行しつつ、コアビジネスによる着実なキャッシュ創出により、1,289億円の配当後フリーキャッシュ・フローを確保することができました。

今中期経営計画の残る2年間でも相応の成長投資を計画していますが、3年間を通して計画に沿った配当後フリーキャッシュ・フローを確保できるよう、キャッシュ・フローマネジメントを継続してまいります。

3.セグメント別投資実績

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昨年度実施した3,000億円の投融資を事業部門別にまとめたものが、この(スライドの)表です。

金属ではインド特殊鋼事業、インフラでは欧州洋上風力発電事業などに投資を行いました。加えて、当社が強みを持つリース事業や不動産事業などにも投資を行い、既存事業のバリューアップを継続しております。

4‐1.次世代新規ビジネス創出

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今中期経営計画では、次世代新規ビジネス創出にも取り組んでおり、この3年間でもご覧の分野に3,000億円を投資する計画です。ここで、昨年(2018年)4月以降に行った3分野への投資について、簡単にご紹介します。

まず、「テクノロジー×イノベーション」では、世界市場におけるイノベーションの担い手であるスタートアップ企業の最新技術に注目し、アグリテックや3Dプリントなどの技術を持つ約30社のベンチャー企業に投資、あるいは提携しております。また、社内に設置したDX(デジタルトランスフォーメーション)センターに、これらベンチャー企業と当社の事業の連携を担わせ、営業部門の事業変革や新事業開発に取り組んでおります。

次に、「社会インフラ」の分野では、本年(2019年)4月に北欧最大手の駐車場事業会社であるQ-Park Operations B.V.社を買収いたしました。当社は、DX導入による顧客の利便性向上を追求しつつ、駐車場の持つモビリティプラットフォームとしてのポテンシャルを最大限に引き出し、カーシェアリング、EV充電、さらに自動車メンテナンスなど、未来のモビリティ社会が必要とする新たなサービスを導入することで、地域社会に貢献してまいります。

「ヘルスケア」では、マレーシアでマネージドケア事業への投資を行いました。こちらについては、次のページでご説明いたします。

4‐2.マレーシア マネージドケア事業

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マネージドケアとは、日本のように公的医療制度が広まっていない国で導入されている医療サービスの管理システムです。そのような国では、患者が医療費を自己負担していましたが、現在では民間医療保険による医療費給付へのシフトが進んでいます。このような状況下で、患者個人がより満足のいく医療サービスを求めるようになってきております。

マネージドケア事業者は、患者に対して優良な提携医療機関ネットワークを提供し、保険会社が行っていた医療費の請求審査や決済管理を代行します。医療機関にとっては患者数の増加につながりますので、マネージドケア事業者は、まさにステークホルダー間の情報とお金の流れに介在するハブ機能を担います。

今後は、当社がトモズでノウハウを持つ調剤薬の流通や、オンライン診療などに取り組むことで、事業の高度化を進めてまいります。

5.プラットフォーム事業の活⽤①

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次に、プラットフォーム事業の活用について、SMFLを例に挙げてご説明いたします。当社グループは、リース事業の分野において、三井住友フィナンシャルグループと共同して複数の事業を行っており、昨年来事業の再編を進めてまいりました。

5.プラットフォーム事業の活⽤②

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この再編は、リース共同事業全体の運営および経営戦略を、機動的かつ効率的に実施できる体制を確立することを基とし、SMFLに対する当社およびSMFGの出資比率をそれぞれ50パーセントとしました。

また、SMFLから、オートリースの住友三井オートサービス、航空機エンジンリースのSMBC AERO ENGINE LEASEに出資参画するなど、各社との連携を強化し、クロスセルの推進や、経営基盤の共有化を通じたさらなるシナジーの追求を目指してまいりました。

オートサービス関連では、任意保険や自動車税、メンテナンス費用等がパッケージ化された月額・定額フルサービスリース「KINTO」や、商用車のファイナンスサービスを提供するMOBILOTS株式会社に出資を行い、事業基盤の拡大を進めています。

リース事業は、当社の安定的な収益基盤であると同時に、当社が展開するさまざまな事業とも親和性が高い事業です。これからも当社は、事業ノウハウやネットワークを活用して、SMFLを中核としてリース事業を拡大してまいります。

6.個別事業の状況 アンバトビー ニッケルプロジェクト

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以上が中期経営計画2020の進捗の説明となりますが、最後に当社が課題として認識しております、アンバトビー・ニッケルプロジェクトの状況について触れさせていただきます。

2018年度の業績は、ニッケル生産量が3万5,000トンと低調な結果となったことに加え、一過性損失の約150億円を計上したことから、403億円の赤字となりました。

2019年度の業績予想は、2018年度の一過性損失の反動に加え、ニッケル生産量が4万トンから4万4,000トンのレンジに増加することを見込んでいることから、前年と比べて改善し、174億円の赤字としております。

本プロジェクトにとって、創業の安定化が最も重要であると考えており、足元では高位安定操業に向けた改善計画を進め、生産のベースラインの着実な向上に取り組んでいます。

具体的には、操業の肝となる硫酸プラントや、HPALと呼ばれる技術を用いたプラント等、優先的に改善に取り組むエリアを特定し、設備の修繕、プロセス改良、オペレーションおよび保守体制の強化等にも取り組んでいます。これらのエリアに起因する操業のダウンタイムは、総じて減少傾向となっておりまして、一定の対策の効果が出てきていると感じております。ニッケルの年間生産量5万トンを目指し、引き続き取り組んでまいります。

中期経営計画2020 〜新たな価値創造への飽くなき挑戦〜

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中期経営計画2020の初年度は、定量的には計画に沿った実績を残すことができました。2年目である本年度は、中期経営計画の成功を左右する重要な年と位置づけています。当期利益3,400億円を達成し、ステークホルダーのみなさまから寄せられる期待に、着実に応えていきたいと考えています。

同時に、中長期的な視点から打ち手を講じまして、新たな価値の創造に取り組んでまいります。今年(2019年)4月、当社は実験的な取り組みを行うオープンイノベーションラボとして、「MIRAI LAB PALETTE」をオープンいたしました。パレットの上でさまざまなカラーがまざり合うように、社内外の多様なアイデアを我々が融合させて、ビジネスモデルを変革し、新たな価値を創造してまいります。

今年、当社は創立100周年を迎えます。これからの100年も、すべてのステークホルダーのみなさまと成長の喜びを分かち合えるよう、住友商事グループ一丸となり、新たな価値創造への飽くなき挑戦に取り組んでまいります。

以上で、私の説明を終わります。ご清聴、ありがとうございました。

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