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ホンダの危機回避策『新アーキテクチャー』は、EV含む電動化策? トヨタ『TNGA』?
ホンダの八郷隆弘社長は、5月8日に開いた事業方針説明会において、「2020年の新グローバルモデルから『ホンダアーキテクチャー』を採用する」と言及した。その『新アーキテクチャー』は「モジュール設計」と「共通プラットフォーム」のようだが、マツダやトヨタと比べるとあまりにも遅い。しかし「ジュネーブモーターショー2019」で公開した、小型EV「e」のプロトタイプ車は、EV専用プラットフォームとなっているようだ。
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新採用の『ホンダアーキテクチャー』は、トヨタ『TNGA』と同じような狙いに見えるが、ホンダのEV「e」は別の考え方を取るようだ。これは、現在までのホンダの施策が統一されていなかった名残であるように見受ける。トヨタ『TNGA』の場合、小型から大型のプラットフォームを最低限の分類で統一して、違う車種も「同じ車種のように」生産出来ることを目指している。
この目的については、ホンダ『新アーキテクチャー』も同じ狙いなのであろう。ただEVに関しては、現在のバッテリーの性能では収容スペースが床下一面ほどにもなり、ガソリン車、HVなどと比較すると、かなりの重量増加をきたしている。このため小型EV車のプラットフォームの設計を、他の車種と同一規格で行うのはかなり困難であるとみられる。ホンダの小型EV「e」は、一連のHV、PHEV、FCVなど電動化車種とは別の計画として進められるのであろう。
ホンダは、ようやく「生産の平準化」などを目標に、世界の生産拠点で「混流生産」「スウィング生産」などを目指して動き出したようだ。しかしマツダ、トヨタ、スバルなどと比較して遅れていると見える。現代においてはサプライヤーの品質レベル問題もあり、「モジュラー設計」は当然のこととしなければならないが、2020年からの採用となると、全車種に展開するには5年ほどが必要であろう。マツダに遅れること15年以上である。間に合うのであろうか?
また生産方式と同時に、ホンダの得意とする「高い商品力」の車種を開発しなければならない。だが世界の貿易事情から見ると、北米市場、中国市場、欧州市場に対して、日本やメキシコなどの生産拠点からの輸出とすることに不安がある。
ホンダは欧州での販売不振から、すでにイギリス工場を閉鎖することを決めている。こうした情勢から世界規模の「スウィング生産」が必須と思えるが、「混流生産」もままならぬホンダの生産拠点では、四輪部門の利益率(1.9%)を上げるのは厳しいだろう。グローバル製造企業のビジネスモデルにおいて、「何をすべきなのか」をホンダ経営陣が正確に理解出来ているのか不安がある。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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