深刻化する人手不足問題は副業解禁で緩和されるか

2019年4月24日 11:48

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●深刻な人手不足問題

 近年、人手不足が問題になっている。様々な原因があげられているが、主な理由は、労働力人口の減少である。日本が今、「超少子高齢化」に向かっていっているということは周知の事実であるかと思うが、ここでは人口減少だけが問題なのではなく、働ける人口の減少が問題となっている。特に、中小企業においては「人手不足倒産」も増加している。

【こちらも】副業を認めている企業と認めていない企業の将来

●政府が副業を推進し始めた背景

 そんな中、2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成したことで、本格的に副業が推進され始めた。このように至った背景も様々な理由があげられているが、そのうちのひとつとして、副業を認めることで人手不足を緩和させようという政府の思惑もある。

●企業の副業許可・禁止は拮抗

 多くの企業が人手不足を感じており、その対策として政府が副業を推進し始めたことで、企業の意識にも変化が見られるようだ。副業を認めている企業(条件付き許可を含む)は50%と、まだ禁止企業の数と拮抗しているが、そのうち、ここ3年以内で副業を認め始めた企業は52%(パーソル総合研究所『副業実態・意識調査結果【企業編】』より)。近年、副業許可の企業が増えていることがみてとれる。

 副業禁止の理由は企業により様々な意見があるようだが、「従業員の過重労働につながるから」「自社の業務に専念してもらいたいから」などが、主な理由としてあがっている。

●今後、副業をしたい人は41%

 労働者に対するアンケートで、現在はしていないが、今後副業をしたい人は41%もいることがわかった(パーソル総合研究所『副業実態・意識調査結果【個人編】』より)。つまり半数近くの人が副業に関心を持っている。たとえこの中の全ての人が副業をしなかったとしても、労働力人口減少の抑制に少しでも近づくのではないだろうか。

●副業を認めることで人手不足が緩和される可能性は十分考えられる

 現状、政府・企業は副業を推進し始めており、労働者は副業をしたいと考える人が多く存在する。今後、労働力人口の減少は避けては通れない道である。その対策として、ここで見た調査結果からも、副業を進めていくということは効果があるといえるだろう。そのためには、さらに多くの企業が副業に対して容認姿勢となることも、必要かとは考えられる。(記事:IKO・記事一覧を見る

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