自然言語処理AI「BERT」を国内初の製品化 サイシード「sAI FAQ Builder」

2019年2月27日 19:25

印刷

AI(BERT)がキーワードを抽出(画像:サイシード発表資料より)

AI(BERT)がキーワードを抽出(画像:サイシード発表資料より)[写真拡大]

  • AI(BERT)がキーワードを抽出(画像:サイシード発表資料より)

 AIチャットボットシステムを展開するサイシード(東京都新宿区)は25日、ディープラーニングを利用した自然言語処理AI「BERT」を搭載したFAQデータ作成サービス「sAI FAQ Builder」の提供を開始すると発表した。BERTの製品化は国内初という。

【こちらも】三井不動産商業マネジメント、AIチャットボット「sAI Chat」を試験導入

 近年、チャットボットの導入が進み、ホテルの予約や観光案内、コールセンターなどのカスタマーサポートなどにも利用されるようになってきた。このチャットボットの普及を支えるのが自然言語処理技術だ。画像や音声の処理では、ピクセルや音声信号といった基本入力が決まっているが、自然言語ではテキストをどのように表現するかというルールは、情報抽出や機械翻訳などのタスクごとに決められている。

 BERTは、Googleが開発したディープラーニングモデルで、昨年末、オープンソースで公開された。高精度の言語理解能力を持ち、汎用性にも優れている。これまでの自然言語処理技術では、タスクごとに特化したモデルが個別に開発されてきたが、BERTは11の異なる領域のタスクすべてにおいて非常に高い成果を挙げたという。

 このBERTが搭載された「sAI FAQ Builder」は、企業内のさまざまなデータからAIが読み取りできる形式のFAQデータを作成するサービスだ。ユーザーの話し言葉を理解し、最もふさわしい回答を自動で提示するチャットボット「sAI Chat」と、自然文を理解する検索エンジン「sAI Search」を実装している。どちらもサイシードが独自開発した辞書を活用して、学習する前から精度の高いAIを実現したという。

 サイシードでは、sAI ChatとsAI Searchに当初から高い精度を持たせるために、個々の質問文に対し、類似表現の拡張とキーワードの抽出を人力で行っていたが、BERTを活用することで、文章の類似度を算出するためのキーワードを自動で抽出できるようになった。これにより、AIの学習に必要なトレーニングデータ(想定質問文)を約80%削減でき、学習期間が約95%短縮できるという。

 サイシードは、2015年2月の設立以来、AI分野で年300%の成長を達成している。今後は、コールセンターや社内ヘルプデスク・不動産・労務管理など、高い業務改善効果が見込める領域でのシェアを高め、2020年までには300社の企業にAIチャットボットを導入したいとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事