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住友林業の「木造」70階建てビル構想に期待したい
住友林業が発表した木造超高層建築のイメージ。(画像: 住友林業の発表資料より)[写真拡大]
住友林業が昨年2月に「2041年までに都内で高さ350m・地上70階建ての木材を主部材としたビルを建設する」という構想を発表して1年近くが経つ。構想の実現に向け、事は進んでいるのか。聞こえてくるのは「耐火用木質部材の研究が進められている」「火災時の外周部をどうするかの対応が検討されている」等々であり、「前段階で25年をメドに高さ70m、14階建ての木造ビルの施工計画を策定している」といった具合だ。
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周知の通り少子高齢化が進捗している。新設住宅着工件数の減少という流れは止められない。木造注文住宅を柱とする同社にとっては、木質商業施設やオフィスビルに商圏を広げていかなくてはならない。と同時に木質建屋の需要増は適宜な森林の伐採につながり「治水」効果を向上させる。住友林業の方向は、今後とも期待を持って見守りたい。
ところで、「木」に関し注目したい話がある。三重県桑名市の遊園地「ナガシマスパーランド」に3月、新たなジェットコースターがお目見えする予定だ。1994年にデビューした木製コースター「ホワイトサイクロン」の後継コースターだ。1号機は昨年1月の営業終了時まで約2200万人を楽しませた。後継機は「木材+鋼材」のハイブリッド型だという。全長1530m。地上55mの頂上から80度の急勾配を最速107キロで駆け抜けるという。ジェットコースターにも最先端技術を組み合わせた「木質」が登壇している。
自治体にも「木材利用促進フォーラム」を展開する動きがある。例えば神奈川県川崎市。フォーラムにも参加する地元の建設会社が、木造の商業施設を建築している。延べ床面積1130.79平方メートルには周辺エリアの生鮮食料品スーパーが入り、2月9日にオープンする。
記した3例を並列で論じることは難しいが、「木質」と言うと「防火」「防震」で「?」が投げかけられる。が、住友林業同様に木造注文住宅を長らく手掛けてきた建設会社では「技術は日進月歩で進化している」とした上で、「木質」をこう語った。耐火については「表面は燃えやすいが、表面が燃えると“炭化”という現象が発生し中心部まで燃えるのを防ぐ」。耐震については「木にはそもそも柔軟性・粘り強さがあり、揺れにも強い。躯体構造の軸である間柱の木材を2倍以上使えば強度は倍になる。高減衰ゴムを使用すれば揺れを熱に交換することもできる。鉄骨造りで使われた最新技術を盛り込んだハイブリッド工法で十分に対応できる」とした。
住友林業には公にした「構想」の基軸も、こうした点に求められよう。是非にも実現してほしい。本稿を記していてハッと思い付いた。日本の寺院・仏閣は昔から木造建築と相場が決まっている、と。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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