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日本一の大家「日生」の新たな1手
丸の内界隈の大家さんといえば、三菱地所。では全国に最も多いビル(オフィス・商業施設・ホテル・物流拠点など)を保有する企業はどこか。答えは日本生命である。昨年9月末時点の保有不動産残高(簿価)は1兆6119億円。賃貸用が1兆82億円、営業用(支社・支店等)6037億円。それでも18年度末の資産運用に占める割合は2.5%だというから、なんともはやお金持ち(正確には保険の保有契約残高が多い、と記すべきだろうが)企業である。
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そして驚かされるのは保有ビルの棟数。賃貸用ビルだけで全国に274棟を有し、入居テナント数は約3000社に及ぶ。「日本一の大家さん」とする最大の根拠である。時々の市況にもよるが、賃貸ビルは安定的な賃料収入を生む。広報部では「今後とも優良不動産への積極的な投資を通じて、ご契約者利益の観点から長期・安定的な運用収益を確保するとともに日本経済・産業の発展に貢献していく所存」とご託宣。
日生が不動産運用の世界に足を踏み入れたのは1901年というから、今年で118年目。ご託宣どおり不動産投資は間断なく進められている。
例えばJR山の手線「品川―田町駅間」に2020年の東京オリンピック・パラリンピックを目途に作られる新駅(山手線では1971年の西日暮里駅開設以来)が「高輪ゲートウェイ駅」となることで、駅名を巡り諸論が飛び交ったが、新駅地を中心とした品川―浜松町駅エリアのおよそ13haの再開発が急ピッチで進んでいる。そうした一角に昨年竣工、12月に開業したのが「ニッセイ浜松町クレアタワー」。浜松町の貿易センタービルに隣接する敷地7646平方メートルに地下3階・地上29階という商業施設・オフィスビルである。
そして昨年末にはこんなニュースが配信された。「国際赤坂ビルの一部取得」。同ビルは積水ハウスとエーエフイレブン合同会社が保有していた物件。1973年2月竣工の地下4階・地上20階建てのビル。赤坂エリアも再開発ラッシュ。共有持分として50%を取得した日生はメトロ4線に直結するビルを、積水ハウスと共に「立替を検討する」としている。日本一の大家はその歩みを止めようとしない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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