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巨大ブラックホール周辺の磁場を初検出 高熱化メカニズムの再考促す 理研
巨大ブラックホールを包むコロナの想像図 (画像: 理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所(理研)は18日、国立天文台が運営するアルマ望遠鏡を用いて、巨大ブラックホール周辺のコロナから、磁場の測定に成功したと発表した。この発見が、巨大ブラックホールの周辺構造のメカニズムの再考を促すとしている。
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■銀河の中心に位置する超高温のブラックホール
宇宙に数千億から数兆個の範囲で存在する銀河の中心には、太陽の質量の100万倍から100億倍もの巨大ブラックホールが存在すると考えられる。これらの巨大ブラックホールのうち、周辺が銀河よりもはるかに明るく輝くのが、「活動銀河」と呼ばれる天体だ。
巨大ブラックホール周辺には、プラズマの一種であるコロナが存在する。このコロナは約10億度にも達し、太陽周辺のコロナの約100万度よりもはるかに高温である。
■太陽等を高熱化する磁場
太陽のコロナが磁場によって加熱されることから、巨大ブラックホールのコロナも磁場によって高熱化すると予想されていた。ところが、ブラックホール周辺の磁場はこれまで観測されたことがなく、巨大ブラックホールが高温の原因は不明であった。
理研が主導する共同研究グループは2014年に、巨大ブラックホールのコロナから電波が放射されていることを予測。研究グループは、この電波放射を確証方法にも言及した。それによると、さまざまな波長の電磁波を検出できるアルマ望遠鏡を活用すれば、磁場を確認できるという。研究グループは今回、実際にアルマ望遠鏡を活用して予測の実証を試みた。
■磁場以外の原因で巨大ブラックホールが高熱化
研究グループは、アルマ望遠鏡で地球から2.2億光年離れた活動銀河「IC 4329A」と、5.8億光年離れた活動銀河「NGC 985」の2つの天体を観測した。その結果、広い電波帯域で活動銀河の電波の観測に成功した。
アルマ望遠鏡が測定したコロナの磁場の強度は約10ガウスで、理論で予測された数百ガウスよりもはるかに小さいことが、今回判明した。巨大ブラックホールのコロナが磁場によって加熱されるとする従来の説に基づけば、コロナはすぐに冷却され、高温のコロナは存在しないことになる。そのため、磁場によってブラックホールが加熱されるという従来の説が覆される可能性がある。
研究グループは、巨大ブラックホールが高温を維持する原因を、物質がブラックホールに落ち込むことで、物質の保持する重力エネルギーが熱へと変化するからだと予想する。
研究の詳細は、米天文学誌Astrophysical Journalにて日本時間の18日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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