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【どう見るこの相場】残り少ない「戌年」はスルーして来年の干支の「亥年」を先取り新森林管理システム関連株にチャレンジ
師走相場は、わずか1週間で早くも大勢が決したようである。12月1日の米中首脳会談のあとに、トランプ大統領が、自らを「タリフ・マン(関税マン)」と呼び、「メイク アメリカ リッチ アゲイン(米国を再び豊かにする)」とツイートし、返す刀で同日に中国の通信機器大手・華為技術の副会長を逮捕したと5日に明らかにするに及んでは、「そこまでやるか!」とショックを受けないのがおかしく、米中貿易戦争の帰趨のシナリオを頭に浮かべた投資家も多いはずだ。「取引(ディール)」を迫られた習近平国家主席が、余程の譲歩をしない限り中国景気はもちろん、米国景気も真っ黒な厚い雲には長く覆われることになるからだ。
平成最後の師走相場だというのに、どんな大納会を迎えるか心配になる。こうなると、投資家の対応は限られてくる。リバウンドがあれば、損失覚悟で持ち株を手仕舞うか、引かれ玉を枕の下に泣く泣く越年するか、まだまだ諦めるのは早いとばかりに米中貿易戦争の圏外にある銘柄を発掘して極地戦を展開するか、そんなことになる。このなかで、相場が一勝負終わり調整した後はマーケットの中心銘柄が変わるとするアノマリーがあることは要注目となる。となれば上手く銘柄セレクションをして市場の追随ムードに高まれば、意外や意外の株高展開もあり得ることになる。
そこでこの候補株として、残りわずかな今年の「戌年」をスルーして来年の干支「亥(い、猪)」関連株にトライしてみたい。三題噺みたいになって恐縮だが、猪の棲息エリアは森林で、この森林関連株に注目するものだ。猪は最近、ひんぴんと農地や市街地に出没して農作物被害や市街地での捕獲騒動がテレビニュースで報道されているが、この原因の一つに日本全国で間伐などの手入れがされていない放置森が増えて、人里と猪の生息エリアの境界が不透明になり、猪が容易に越境できるようになったことにあるとされている。この森林を再生して林業を成長産業化するための政策が、来年4月に施行されることになっており、この「亥年」関連株に材料株人気の高まりを期待するということである。 来年4月に施行されるのは、「森林経営管理制度(新たな森林管理システム)」で、森林所有者には適切な森林管理の責務を明確化するとともに、森林所有者自らが森林管理を実行できない場合は、市町村が経営管理の委託を受け、林業経営に意欲と能力のある林業経営者に再委託できることなどを骨子としている。もちろん林業は、産業としても戦後植林された人工林が、伐採期の11齢級の55年を迎え、人工林資源は、毎年7800立方メートルずつ増加していく。需要サイドでも、公共建築物に国産材を使用する公共建築物等木材利用促進法などが施行され、今回の新管理システムで市町村への財政支援も手当されることから、森林資源は「伐って、使って、植える」循環利用する新たな時代に突入すると見込まれている。関連株に光が当たることが有力視される。
■森林解析の航空測量株や林業機械株、木工機械株などに出番
森林関連株の一番手は、今年12月3日に森林活性化事業の一元化に向け体制強化を発表したばかりの日本アジアグループ<3751>(東1)だろう。同社は、空間事業とグリーンエネルギー事業、森林活性化事業を展開しているが、この森林活性化事業の推進主体を子会社のJAGフォレスト(東京都千代田区)に一元化し事業体制を強化する。また、新森林管理システムの開始に関しては、2012年4月に完全子会社化した航空測量の国際航業が展開している森林情報コンサルティング事業のビジネスチャンス拡大が見込めるほか、グループ化した山林不動産の仲介事業サイト「山林バンク」により森林不動産の売買取引を開始する。国際航業と同じ航空測量のアジア航測<9233>(東2)も、三井住友信託銀行と森林信託を活用した新たな森林管理スキームの導入で業務連携協定を締結し、航空レーザを用いた特許技術の森林解析技術などの展開を図る。日本アジアGもアジア航測も年初来安値水準にあり、底値買いも一考余地がある。
森林資源の産業化には林業機械、製材・木工機械が不可欠で、この関連株も浮上する。木工機械のキクカワエンタープライズ<6346>(東2)が、今年11月9日に今2019年3月期業績の上方修正と増配を発表したのがこの典型であり、林業機械のやまびこ<6250>(東1)、オカダアイヨン<6294>(東1)、丸山製作所<6316>(東1)、マキタ<6586>(東1)などの注目度もアップしよう。日本の国土の800分の1に相当する社有林を管理する住友林業<1911>(東1)も外せないし、さらに最近は林業女子に加えて狩猟女子も話題になっていることから、害獣駆除関連の猟銃のミロク<7983>(東2)も、隠れ関連株となる。
■地産地消の木質バイオ発電事業では専業組、新規参入組と多士多彩
森林活性化の両輪となる地産地消エネルギーのバイオマス発電関連株も浮上が期待できる。太陽光発電の固定買取価格が相次いで引き下げられるなか、再生可能エネルギーでは木質バイオマス発電シフトも起こっており、間伐材の有効利用や森林保全など地域経済への貢献度も高い。エフオン<9514>(東1)、イーレックス<9517>(東1)、レノバ<9519>(東1)の専業組ほか、他業種から参入のミツウロコグループホールディングス<8131>(東1)、ファンドで出資のスパークス・グループ<8739>(JQS)などが関連株となる。(本紙編集長・浅妻昭治)
清水建設<1803>(東1)も、長野県で木質バイオマス発電事業に進出し、トヨタ自動車<7203>(東1)も共同事業者として資本参加する。また昭和化学工業<4990>(東2)は、木質チップを自社生産設備のバイオマス燃料として使っている例や、特種東海製紙<3708>のようにバイオマスで発電した電力を外部には売電せず自社工場内で有効利用するケースもあり、関連株買いが広がってくる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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