NYの視点:全米の労働市場は依然強い、ハリケーンの影響で混乱も

2018年11月1日 09:52

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記事提供元:フィスコ


*09:52JST NYの視点:全米の労働市場は依然強い、ハリケーンの影響で混乱も
米国労働省はワシントンで11月2日に最新10月の雇用統計を発表する。市場のエコノミストは、非農業部門雇用者数で前月比+20万人を予想している。ハリケーンフローレンスの影響で雇用が抑制された9月+13.4万人から、10月にはハリケーンの復興作業の影響が雇用を大幅に引き上げると見ている。同時に、ハリケーンマイケルの影響がフロリダ州やジョージア州の雇用に反映する可能性もあり、引き続き混乱も警戒される。

雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は前月比+22.7万人と予想外に、9月+21.8万人に続き20万人台の増加となった。ADP統計では、給与が支払われなくとも、従業員名簿に載っている限り、統計に加えられる。一方、労働省が発表する雇用統計では、給与が支払われない限り加算されない。このため、ADP統計にはハリケーンの影響が反映しにくく、結果を労働省が発表する10月の雇用統計に直接結び付けるのは困難。しかし、全米の雇用が引き続く強く拡大している証拠であることは確か。失業率も3.7%と50年近くぶりの低水準が予想されている。

また、賃金が引き続き焦点となる。平均時給は前月比+0.2%と9月の+0.3%から鈍化も、前年比では+3.1%と、2009年4月来以降9年ぶり最大の伸びが期待されている。労働市場の過熱が証明されると、トランプ米大統領の忠告にもかかわらず、FOMCは12月の追加利上げに踏み切らざるを得ない。

■10月雇用統計の先行指標

・米・10月ADP雇用統計:前月比+22.7万人(予想:+18.7万人、9月:+21.8万人←+23.0万人)


・NY連銀製造業景況指数:
雇用(現状):9.0(9月13.3、6カ月平均13.4)
週平均就業時間:0.2(9月11.5、6カ月平均8.2)

6か月先
雇用:13.0(9月14.7、6カ月平均19.4)
週平均就業時間:2.5(9月−1.6、6カ月平均1.9)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):+19.5(9月+17.6、6カ月平均+21.5)
週平均就業時間:+20.8(9月+14.6、6か月平均+19.7)

6か月先
雇用:30.2(9月31.7、6か月平均33.1)
週平均就業時間:17.6(9月10.8、6か月平均14.3)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):19(9月16)
週平均就業時間:16(9月19)
賃金::28(9月33)

6か月先
雇用:33(9月23)
週平均就業時間:15(9月12)
賃金::59(9月45)

・消費者信頼感指数(%)

雇用
十分:45.9(9月44.1、前年同月36.7)
不十分:40.9(41.8、46.2)
困難:13.2(14.1、17.1)

6カ月後の雇用予想
増加:21.9(22.1、18.7)
減少:10.5(11.5、11.6)
不変:67.6(66.5、69.7)

6カ月後の所得
増加:24.7(22.5、20.3)
減少:8.5(7.6、7.5)
不変:66.8(69.9、72.2)

・失業保険申請件数

件数 前週比 4週平均 継続受給者数
10/20/18| 215,000| 5,000| 211,750 | n/a |n/a
10/13/18| 210,000| -5,000| 211,750 | 1,636,000
10/06/18| 215,000| 8,000| 209,750 | 1,641,000
09/29/18| 207,000| -8,000| 207,000 | 1,653,000
09/22/18| 215,000| 13,000| 206,500 | 1,656,000
09/15/18| 202,000| -2,000| 206,000 | 1,663,000
09/08/18| 204,000| -1,000| 208,000 | 1,645,000
09/01/18| 205,000| -8,000| 210,000 | 1,700,000

■市場予想
失業率:3.7%(9月3.7%)
非農業部門雇用者数:前月比+20万人(9月+13.4万人)
民間部門雇用者数:前月比+19.3万人(9月+12.1万人)
平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+3.1%(9月+0.3%、+2.8%)《NH》

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