トルコで年間4万回以上も緊急通報した男が逮捕 日本でも多い虚偽の緊急通報

2018年10月27日 17:34

印刷

 トルコで1年間に(2017年5月15日~2018年5月15日)緊急通報を4万回以上繰り返した男が逮捕されたと現地のニュースで報じられた。もちろん4万回の緊急通報の内容には緊急性も事件性もない。この男はトルコのイスタンブールに在住のシェレフ・カン(55歳)。

 シェレフは緊急通報し、特に苦情訴えるわけでもなく、ただ会話したかったと供述しているようだ。いわゆるイタヅラ電話、迷惑電話である。イスタンブール警察の調査によると、シェレフは1日に多くて115回、1年で4万5,120回の緊急通報をしていたことがわかり、公務執行妨害で逮捕となった。

 じつは本件のような正統性のない緊急通報は日本でも後を絶たたない。そして覚えておくべきは、正統性のない緊急通報は罪に問われる可能性がある点だ。

■日本でも多い、虚偽の緊急通報

 緊急通報とは日本でもおなじみの110番や119番のことだ。110番通報すれば警察に直通電話が可能で、緊急性の高い事件を速やかに警察に通報が可能、同時に警察の臨場を要請することもできる。

 少し古いデータだが、2012年には年間で約175万件の110番通報があった。その内の30万件程度は緊急性のない用件や、愉快犯的な、いわゆる正統性のない通報だったそうだ。

 近年、日本でも安易な緊急通報が取り沙汰されるケースが目立つ。

 昨今ではインターネット動画サイトで映像を配信し、収益を得るビジネスがしばしばメディアに取り上げられている。その代表的な存在がGoogle社の運営するYouTubeを媒体としたYOUTUBERの存在だ。

 YOUTUBER以外でもインターネットを利用して動画配信する人を【配信者】と総称する場合が多いのだが、配信者の中には映像をリアルタイムに配信するライブ配信を行う場合も多い。このライブ配信中に視聴者がイタヅラ通報するケースが増えているという。

 ライブ配信は野外で行う場合もしばしばあるのだが、この配信中に視聴者が悪意による緊急通報をするケースが目立つ。多くの緊急通報は配信者を困らせることを目的とした愉快犯であり、ライブ配信中に119番通報して配信者が逮捕(後に略式起訴)され、テレビメディアに大々的に取り上げられた事例もあった。

■正統性のない緊急通報は通報者が処罰の対象となる

 虚偽の緊急通報は処罰の対象となる可能性がある。

 軽犯罪法1条16号には「虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た」、同じく31号には「他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した」などがある。この2つはどちらも『拘留又は科料』のごく軽い処罰にしかならない。しかし虚偽の緊急通報を何度も繰り返し、警察の手を著しく煩わせると「偽計業務妨害」に該当し、刑逮捕される可能性もある。偽計業務妨害は懲役刑の可能性もある刑事罰だ。

 虚偽の緊急通報でも実際に警察や救急車が現場に臨場したとなると、公務員の業務を妨害したと判断され、いわゆるイタヅラ電話による軽犯罪法ではなく、偽計業務妨害に問われる可能性が出てくるということだ。

 110番通報も119番通報も逆探知が可能なため、非通知だろうと通報者の特定は可能だ。緊急通報は気軽に行うことができるが、悪意による虚偽の緊急通報は刑事罰の対象になる可能性があることを覚えておきたい。

関連キーワード

関連記事