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今度はテックビューロで仮想通貨が不正流出 顧客離れが加速する恐れも?
9月20日、テックビューロ(大阪市)は仮想通貨約67億円(翌日70億円相当に修正)が流出し、うち45億円は顧客資産だったと発表した。6日前の、14日の午後5時~同7時頃に不正なアクセスを受けて外部送金されたようだ。テックビューロでは3日後の17日に異常を察知し、同日夕方に同社が運営する仮想通貨交換サービス「Zaif」の公式ツイッターで、「サーバーの障害により一部の仮想通貨の入出金が停止した」と公表されていた。流出したのは「ビットコイン」、「ビットコインキャッシュ」と「モナコイン」の3種類だという。
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18日正午前後に「顧客資産の安全を確認」とツイートされている。18日以降になって金融庁と捜査当局に被害届を提出した。大阪府警は、不正アクセス禁止法違反などの容疑で捜査に乗り出している。
20日にテックビューロへの立ち入り検査を行った金融庁は、25日に同社に対して、資金決済法に基づく業務改善命令を出した。同社は今年の3月から3カ月ごとに業務改善命令を受け、通算3度目となった。
流出原因の究明が進まず、顧客への対応に不適切な点があり、再発防止策も不十分と判断されてしまった。3月から3回目の業務改善命令は重い。テックビューロは事実関係と原因究明、顧客被害の拡大防止、顧客への対応、業務改善計画を再度見直して27日までに報告することを求められた。
仮想通貨業界は、1月にコインチェックで発生した不正アクセスによる約580億円の仮想通貨流出問題で、高い授業料を払った。色々学んだ教訓の中には、インターネットに接続したまま、ホットウォレットを保管場所とすることの高い危険性がある筈だ。ところが今回も、テックビューロで同様の事態が発生した。
コインチェック問題が大きな社会的関心を集めたことから、それまで横のつながりが希薄だった仮想通貨業界は、金融庁に登録する全ての仮想通貨交換業者が加盟する「日本仮想通貨交換業協会」を4月に設立した。しかし、同協会が策定を進めている自主規制案では「サイバー攻撃で仮想通貨が流出した場合は、賠償方針を各社が決めて公表する」方向で検討中だという。18年1~6月の間に前年同期の3倍超の158件の仮想通貨の不正流出が把握されている中で、流出問題に限って言えば、協会としての統一方針は考えていないようだ。顧客離れを誘引する恐れはないのだろうか。
金融庁は仮想通貨を含むフィンテックに対して「イノベーションを促進させることと、利用者の保護は並行して進める」という立場を示している。その思いに応えられるのは、仮想通貨交換業者であり業界団体である。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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