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ルノー・日産・三菱の3社連合 シナジー効果を出せるメカニズム
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ルノー・日産・三菱、3社連合(以後3社連合)は過去最高のシナジー効果を発揮したと、カルロス・ゴーン会長は語った。57億ユーロの効果としているが、そのメカニズムはかなり単純で、投資家にとって分かりやすい。トヨタは、既にその効果を1社でやってきているため膨大な利益として織り込み済みで、これ以上のシナジー効果は発揮できない。3社連合は、これまでの重複したシステムを統一することだけでも、改善する余地はまだまだ残されているので、効果は伸びていく。つまり、集中購買などで当然に出てくるメリットが期待されるのだ。
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一方、トヨタでは既にそうした「ムダ」は省かれており、たいして期待は持てない。問題はそこからだ。3社連合が現在躍進している理由の「ムダの排除」は企業として当然であり、難しいメカニズムを新たに構築しているわけではない。しかし、トヨタが伸びようとすると、新規の「管理メカニズム」を開発し適応していく必要がある。それが、マツダの「スモールとラージ」に分ける「コモンアーキテクチャーからの展開」であり、「トヨタのTNGA」でもある。
リーマンショックに遭遇してトヨタが気付いたように、この動きは経営者だけでなく全社員的動きでなければ実現できないものだ。その点でメカニズムが複雑で、集中購買などと違って、高度な「管理メカニズム」を開発し、「人心を誘導」していかないと成功できない可能性もあるのだ。マツダとトヨタはこの点で、「先駆者」と言える。トヨタは当然その前の「カンバン方式」の先駆者だが、他の企業はこの概念についてかなり遅れを持っていると考えてよい。スバル、ホンダ、日産、VW、ベンツ、BMW、もちろんGM、フォードなどは「コモンアーキテクチャー」にも達していない可能性がある。
「3社連合」はこの点で、それぞれ別の会社であったため、展開するには困難が伴う。その1つがマクロン大統領の3社合併要求だ。この要求に反対したいのが日産だが、「一括開発と混流生産」つまり「コモンアーキテクチャー」を進めていけば、3社連合は実質的に離れることはできなくなる。これに政治的思惑がタイミング悪く入ってくると、大きな混乱をきたす。カルロス・ゴーン会長が健在である必要がここにある。まだまだ日本の経済、雇用確保のためにも、カルロス・ゴーン会長には頑張ってもらわねばなるまい。
企業業績として決算内容は優れていても、管理技術の進歩とは別次元なのだ。それが、「単に生産台数世界No.1になっても仕方がない」とトヨタ幹部が口にする理由なのだ。これに我慢が出来ない短期的利益のみを求めるのがファンドであり、説得できないと企業の寿命が来てしまうのだ。「3社連合」、また「スバル」は変革できるのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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