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人気ラノベ『二度目の人生を異世界で』のアニメ化に暗雲
人気のライトノベル作品で、10月からはテレビアニメでの放送も決まっている『二度目の人生を異世界で』だが、6日、出演予定だった主要声優が次々と降板を報告しており、大きな騒動になっている。
この作品は、5730人(うち従軍期間中に3000人以上)もの人間を切り殺して94歳にして死んだ男が、転生して異世界で戦うという内容なのだが、このような虐殺者を主人公にするのはどうしたものか……という声があがり、文中では明確なことは書いていないのだが、中国でのことであろうと推測され、ヘイト作品ではないのか?というクレームから始まったもの。
やがて、原作者のまいん氏が過去にTwitter上にて、極めて悪質……というより、テンプレ的なヘイトスピーカーであったことが発覚したというのがこの混乱の引き金となったようだ。
まいん氏はその後謝罪とともにTwitterを閉鎖、またヘイト表現と思われる作品中の言葉遣いに関しては訂正したいとの意向を表しているが、今回、アニメ化にあたってキャスティングされた人気声優がそろって降板したことから、かなりの影響が考えられる。
アニメや音楽には国境がなく、実際、日本のアニメは中国のみならず、世界中にファンが存在するだけに、こうした表現にはデリケートにならざるを得ないのは納得できる話である。
ただ、このような、明確なヘイトスピーチは論外ではあるが、昨今、様々な映像作品・文章作品が、政治思想的なことから圧力を受けるのには少々違和感を感じているところでもある。
パルムドールを受賞した『万引き家族』が反日ヘイトだと攻撃されたり、誘拐された少女と犯人の関係を描いた『幸せ色のワンルーム』が犯罪教唆だと圧力をかけられたりするのは、表現の自由を政治的に歪めることになるのではないだろうか?
名画『自転車泥棒』を見て、イタリアは貧しい国だと決めつける人はいないし、『ダーティハリー』を見てアメリカは危険な国だと思い込む人は珍しいはずなのに、なぜこのような表現の自由を理解しない風潮が生まれるのか理解に苦しむ。
それならフィクションをフィクションとして鑑賞することができず、何かとケチをつけないと気が済まないという貧しい感受性をどのようにフォローしていくかという方向に進むべきだろう。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)
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