AKB"暴走"総選挙狂騒曲

2018年6月3日 21:57

印刷

 前回の記事で、総選挙シングルが絶好調の売り上げと書いてしまったが、早くもそのことを後悔したくなる事件が頻発してしまった。

【こちらも】AKB48 新曲『Teacher Teachre』が空前の大ヒット!

 AKBの風物詩ともいえる選抜総選挙は、本来、次のシングルの選抜メンバーを決めるための1回きりものだったが、現在ではメンバー内の序列を決める、ランク付けの儀式となっている。

 そのために、出馬表明したメンバーが必死になるのはわかるのだが、前回の中間速報を受けて、票数が集まらなかったメンバー数人が、ファンに大量投票を促したり、しまいには携帯電話を奪ってでも投票して欲しいというような発言をしていたのである。

 メンバーの名誉のために言っておくが、これらの発言は強制的なものではもちろんなく、冗談半分のものなのだが、昨年ランクが高かったメンバーでもあったため、冗談半分、本音半分で受け取る人が多かったのは否めない。

 特に、今回話題になってしまったのは、昔から選挙には強いSKE48のメンバーでもあったことから、やはりそういう土壌的なものも、冗談が冗談として通用せずに批判の対象となった可能性もあるだろう。

 これはメンバーだけの問題ではなく、熱心なファンの一部も、昔から大量購入したCDの段ボール箱を部屋に積み重ねた写真をSNSに投稿したり、「選挙対策本部」を自称してカンパ活動を促していたりもして、問題を指摘されてはいた。

 それでも、総選挙シングルともなれば、通常より数割増しの売り上げが確保できることもあり、運営にとって金のなる木である以上抜本的な見直しは考えてもいないようだし、メディア関係者の多くもそれを黙認しているとしか言いようがない。

 ただ、はっきりと言っておきたいのだが、仮に総選挙で上位に入ったとしても、それに見合う将来があるかと言われれば、正直、4~5回目以降は疑問だ。

 AKBGという村の中ではマウンティングできるだろうが、外に出て通用するのは、相変わらず指原莉乃であり、柏木由紀であり、山本彩であって、その他のメンバーの知名度はあがるわけでもなく、仕事が増えるわけでもなく、卒業後は使えない肩書になっていると言わざるを得ない。

 むしろ、総選挙の順位は低くても、大家志津香や吉田朱里のように、強みを活かして活動しているメンバーのほうが安定して知名度も獲得しているといえるだろう。

 ここで比べるのは可哀想であるが、例えば乃木坂46の場合、握手人気が低い……おそらく総選挙などを実施したら下位になってしまうであろうメンバーであっても、それぞれの個性・嗜好を活かして「オンリーワン」のスキルを磨く一方で、グループ活動では支え合い、助け合い、グループとしての完成度も高めるようなシステムが作られようとしている。

 目先の順位のために、ファンに無理を強い、メンバー関係もぎくしゃくし、卒業後の活動にも寄与しない「総選挙」に何の意味があるのだろうか?前回などは、いわゆる政見放送みたいなもので「〇位になったら水着になります」などと、アイドルらしからぬ下品な公約を連発したのも、ファンのAKB離れを誘った要因の一つとなっている。

 あくまでも記者の一意見ではあるが、これ以上、メンバーを使い捨ての集金マシンに仕立て上げる醜悪なイベントは見たくないものだ。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事