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ジャパンディスプレイ、今期は正真正銘の正念場に!
15日、液晶大手のジャパンディスプレイ(JDI)が発表した18年3月期の連結決算は、最終損益が2,472億円の赤字(前期は316億円の赤字)と、過去最大の赤字額となった。赤字のうち1,437億円は生産設備や在庫の減損損失を計上したことによるもので、ぜい肉を落として、「構造改革で利益を出せる体質の会社に変える」という東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)の強い決意が込められている。見方によっては筋肉質のスリムな体形になったと言えなくもないが、純資産も自己資本比率も大幅に低下したため、スタミナを大きく減らしたことも否めない。
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19年3月期には対前期比10~20%の売り上げ増と、2~3%の売上高営業利益率を見込んでいる。ポイントは「下期に大幅な増収を見込んでいる」ことだ。今秋に発売が見込まれる次期iPhoneは有機ELモデルよりも、液晶モデルの出荷が多くなると見られている。その目論見を19年3月期に反映させると、下期の増収が不可欠となるのだ。
17年秋に鳴り物入りで発売されたiPhone X(テン)が予想外の不振に直面した理由が、「高すぎる値段」と期待外れの新機能との組み合わせであった、というのが大方の見方だ。流石のiPhoneも新機種発表の都度、驚きを巻き起こすことが難しくなりつつあり、価格との天秤にかけられるようになってきた。そうなると価格を抑える方向へ向かうのは、至極妥当な判断だ。一説によると18年モデルのiPhoneは、ディスプレイを大型化したタイプと、スペックをあまり変えずに価格をお手ごろにしたタイプ、液晶ディスプレイに戻した廉価タイプの3種類登場すると、取り沙汰されている。このため、JDIに恩恵が向かうのではないか、という「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話だ。
しかし、液晶でも中国パネルメーカーが着実に技術力を向上させ、JDIを脅かす存在になりつつある。さらに、アメリカと中国との貿易戦争にも擬せられる騒動が巻き起こった。米商務省が中国通信機器の大手である中興通訊(ZTE)に課した制裁のため、ZTEはスマホの販売を停止せざるを得なくなった。ZTEはJDIから数十億円の液晶パネルを購入する顧客であり、とんだとばっちりである。米中貿易摩擦の拡大次第では、さらに影響が拡大することも懸念されている。
JDIは液晶需給環境の激しい変化と、競合の激化というメーカーとしての宿命を背負っている。吹きつける強風の向きがフォローか、アゲインストかというだけで業績への影響度は強烈だ。今後を展望すると、有機ELの量産体制をどう構築するのか、という問題も並行して解決する必要がある。5期連続の最終赤字は有り得ない。まさに今期が正念場と言えるだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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