東大・九州工大の自律型海中ロボットが全自動での生物サンプリングに成功

2018年4月25日 23:21

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自律型海中ロボット「TUNA-SAND2」。(画像:東京大学発表資料より)

自律型海中ロボット「TUNA-SAND2」。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]

 東京大学生産技術研究所の海中観測実装工学研究センター、九州工業大学大学院の生命体工学研究科/社会ロボット具現化センターを中心とする研究グループが開発した自律型海中ロボット(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)、「TUNA-SAND2」が、清水沖において、自然環境下での全自動生物サンプリングに成功した。

 AUVとは、動力源を持ち、プロペラなどの推力を用いて、事前に決められたルートに沿って無索で海中を全自動観測する装置の総称である。

 しかしAUVは、海底の写真撮影や音響調査には便利なのだが、通信環境が悪い深海などでは、サンプリング(海底の生物や鉱物などの採取)ができないという大きな難点があった。そこで開発されたのが、今回のTUNA-SAND2である。

 TUNA-SAND2は全長1.4メートル、重量380キログラム。ホバリング型AUVで、音響通信で指定された海底に生息する生物を自動で捕獲するために作られた。海底を三次元的にマッピングするための3Dマッピング装置、および海底に生息する生物検出用のカメラを搭載している。

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 完成したのは2015年である。以来、オホーツク海の水産資源調査、沖縄瀬底のサンゴ礁調査などに投入されてきた。またその中で、画像マッピングの経験を積み、サンプリング機能の強化が図られてきた。

 さて、生物サンプリングの成功だが、どのように行われたか。TUNA-SAND2は、事前に与えられた捕獲対象の生物種の情報をもとに、搭載するカメラで海底面の画像を撮影した。そしてサンプリング対象と判断した画像を音響通信によって船上の研究者に伝達。船上から対象の画像を指定すると、TUNA-SAND2は撮影位置に戻って、対象の生物を捕獲した。あとはこの繰り返しである。

 今回の成功によって、今後効率的かつ高精度の、資源量調査が可能になると期待されるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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