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スバル・新型フォレスターは時代遅れなのか?(上) SGP採用の経営技術としての意味
ニューヨークショーで初公開された新型フォレスター。(画像: SUBARUの発表資料より)[写真拡大]
■SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)採用の経営技術としての意味
スバル・新型フォレスターが、ニューヨークモーターショーで発表された。新世代となるフォレスターであるので、当然にSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用してきている。これは、コストダウンと市場変動に対応するため、どうしても進めなければならない課題だ。トヨタのTNGAと同じような目的だ。SGP採用で先だって投入されたインプレッサ、XVなどの出来を見ると、かなり期待できるものと感じる。ニューヨークショーが発表場所となるなど、北米で成功しているSUBARUの実績をよく表している。
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新型フォレスターは、全長4625×全幅1815×全高1730mm。インプレッサ4460×1775×1480と比較すれば別物だ。これを生産工程ではほとんど同じ部品として扱えるようにして、コストダウンできる。特に、「固定費の削減」と「固定費を変動費と出来る、つまり生産の変動に強くなる」ことで、決算に寄与してきているのがSGP(トヨタ・TNGA、マツダ・スカイアクティブなどと同様)の効能だ。決算数字を良くするために、現場の生産方式が最重要であることをよく理解しなければならない。
■生産方式を理解することは、ジャーナリストの責任
この仕組みを理解して、現代の車を理解することが、車の専門家としての責任であろう。つまり自動車ジャーナリストは、経営・決算数字・生産技術・製造技術に強くなることが必要であろう。特に、EV・AI・IoTなどで世界的大変革のいま、車の評価においても、その背景を考慮できなければ話にならない。マニアチックな評論だけでは、現代の自動車ジャーナリストは役不足となっている。今はまだ「第4次産業革命」を正確に規定できる時、場面ではないが、自動車が社会生活、つまり国民のライフスタイルに関与する姿が変革しているのだ。
「トヨタ・かんばん方式」が古く、「TNGAが技術的に最先端」と理解するのは「誤り」と言えるもので、TNGAがかんばん方式を基礎としていることは間違いないのだ。「製造技術」と「生産技術」の違いを理解できなくては、「100年に一度の改革」を論じることは無理である。「TNGAで20%のコストダウン目標が達成できていない」と伝えられているようだが、もともと「TNGAの効果は減産時、しかも大多数の車種に適応済み」の場合に発揮される仕組みであり、現在の市場の情勢、適応車種の少なさではでは、その効果を確認することは難しいであろう。それが「固定費を変動費とできる」仕組みだ。
再びリーマンショックのような時期を迎えたときに、どれほどの車種に適応できているのか?そのため、作業を急がねばなるまい。スバルも同様SGPの適合車種を急がねばならないが、トヨタよりはるかに早く達成できるはずだ。しかしながら、容易だけに効果も薄い。
「車をつくる会社から移動手段(モビリティ)を提供する会社へ変える」という豊田章男社長の言葉を理解するには、「ライフスタイルに提案するとは、いかなることか?」を理解しなければならない。トヨタが「カーシェア・レンタカー」に力を入れる意味合いも深慮してみることだ。それには大元にある技術革命を見定めることから始めなければならないが、私を含め今、正確にできている専門家は見当たらない。動いているトヨタ自身の理解もはなはだ心もとない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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