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「サロンパス」の久光製薬株が急伸したわけ
貼付型鎮痛剤「サロンパス」で知られる久光製薬の前2月期決算は「1.3%増収、0.2%営業増益、6.3%最終減益」。そして今期計画も「0.4%増収、8.9%営業減益、0.4%最終増益」と、足踏み状態にある。そんな同社の株価が昨年11月以降急伸。10月末時点に比べると4月初旬段階で60%強上昇した。上昇の契機は、いわゆる短期移動平均線が長期移動平均線を下から突き抜ける「ゴールデンクロス」だった。13週移動平均線>26週移動平均線という状況の出現である。
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久光製薬の前身:小松屋(薬店)の創設は、1874年。サロンパスが世に登場したのは1934年(エアーサロンパスは1963年)。以降、同社はサロンパスをベースにした「医療用医薬品」「一般医薬品」メーカーの道を歩んできた。だがここしばらくは「ジェネリック」「ライバル商品」の攻勢で、四季報直近号の業績欄の見出しを拝借すれば【厳しい】状況だった。にもかかわらず前記のとおり、株価は急伸した。「ゴールデンクロス」は「当該企業を取り巻く環境の変化を映し出した結果」とされる。「環境の変化」とは、どう捉えればよいのか。同社に明るいアナリストは「ジワジワと積み重なってきた環境変化が、一気に噴き出した」とした。具体的には、こういうことだ。
米国で経口鎮痛剤の乱用による「中毒」問題が社会問題化した。数種の鎮痛剤がレッドカードを突きつけられ、市場から退場するという事態となった。そうした「中毒問題」への対応策の一環として、貼付型鎮痛剤の使用が広まった。サロンパスもその一種となった。
貼付薬の文化を持たない国が多い。そんな中で中国人を中心とした訪日観光客の間で、口コミサイトにて「日本に行ったら必ず買うべき12の薬」が人気を呼んだ。その中の一つがサロンパスだった。
前期決算を詳細に見ると、サロンパスの売上高は前年比2割増。国内の伸び率約1割に対し、海外向け伸長率は約3割に達している。そして今期については国内販売4%増に対し、海外向けは23%増と計画されている。
そもそも貼付薬の文化がなかった海外でサロンパスが真に根を下ろすのかどうか、ゴールデンクロスの真贋を見定める上でも注目したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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