旭酒造と富士通、AI活用による日本酒造りの実証実験を開始

2018年4月22日 18:00

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旭酒造の日本酒醸造現場(画像: 富士通の発表資料より)

旭酒造の日本酒醸造現場(画像: 富士通の発表資料より)[写真拡大]

 旭酒造と富士通、富士通研究所は19日、日本酒造りを支援するAI予測モデルを用いて、日本酒の醸造を行う共同実証実験を実施することを発表した。

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 この予測AIでは、日本酒醸造の流れを定義した数理モデルと、旭酒造が製造・販売する日本酒「獺祭」の醸造工程において計測される実際のデータを用いた機械学習を組み合わせることで、日本酒醸造工程における最適なプロセスを支援するものになるとしている。

 旭酒造は、高齢化社会により日本酒造りの現場での人手不足が予見されるなか、「獺祭」の安定した供給・高品質の維持のために、日本酒造りのノウハウの見える化に長年取り組んできたという。

 2014年には原料となる酒造好適米「山田錦」の安定調達を目的に、富士通の食・農クラウド「Akisai」を契約栽培農家に導入。酒造好適米の栽培技術の見える化・共有化に取り組んできた。

 今回はさらにAI技術「Fujitsu Human Centric AI Zinrai」を日本酒造りに活用することで、日本酒造りに関わる社員各自の経験や高品質な日本酒造りのノウハウの見える化を行うとしている。このAIは「人と協調する、人を中心としたAI」を目指した人に優しい技術を体系化したものという。

 実証実験の内容は、まず旭酒造が醸造する日本酒「獺祭」の成分データなどを計測。次いで、富士通は計測された情報を基にAI予測モデルを活用して、日本酒醸造工程における最適なプロセスを支援する情報を提供するという。

 その後旭酒造は、富士通側から提示された支援情報に基づき、最適な日本酒造りの実現に向けた日本酒醸造を行う。この実証実験を2サイクル行うことで、AI予測モデルの精度向上と日本酒造りでのAIの有効性と実用化の検証を行うとしている。

 期間は2018年4月~6月の予定。旭酒造と富士通、富士通研究所は、本実証実験を通じて、AIによる醸造工程の作業支援を実現し、高品質かつ均一な「獺祭」の安定供給に継続して取り組んでいくとしている。

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