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理研ら、ヒトの脳全体のシミュレーションを実現するアルゴリズム開発
従来と新アルゴリズムによるシミュレーション可能な脳の規模とスパコンの規模(画像: 理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所は26日、スーパーコンピュータ上でヒトの脳全体における神経回路のシミュレーションを可能にするアルゴリズム開発に成功したと発表。同研究所研究員らを含む国際共同研究グループによる成果で、脳の情報処理や疾患の解明への貢献が期待されている。
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新たに開発されたアルゴリズムは次世代スパコンにて脳の膨大かつ複雑なネットワークのシミュレーションを実現する。つまり脳全体のシステム活動の模擬実験をスパコン上で成し遂げるために必要な情報処理の方法を獲得したということだ。
脳は主に神経細胞、電気信号を発して情報のやり取りをする特殊な細胞によって構成されている。その数は大脳では約160億個、小脳では約690億個、脳全体においては約860億個に上る。そして神経細胞は別の神経細胞と情報伝達のためにシナプスでつながり、神経回路というネットワークを形成している。
この神経細胞のネットワークは非常に複雑で、従来のスパコンと方法を用いてもそのシミュレーションは難しい。そのため新たなスパコンと新たな方法が必要になった。前者はポスト「京」などの次世代スパコンであり、後者は今回新開発されたアルゴリズムだ。
現在のスパコンでは例え最高性能の物でもヒトの脳全体にわたる規模で神経細胞の電気信号によるやり取りをシミュレーションすることはできない。だが理化学研究所とドイツのユーリッヒ研究センターではそれぞれポスト「京」、「JUWELS(ジュエルス)」という次世代スパコンの開発が進んでいる。
それらのスパコンは従来のスパコンの10倍から100倍の性能を目指して開発中だ。開発に成功すれば、脳全体のシミュレーションの実現可能性がみえてくる。
ただ次世代スパコンがあっても、従来のより狭い範囲を対象にした脳のシミュレーション方法ではメモリの消費量などの問題から脳全体のシミュレーションは困難だ。そこで新アルゴリズムを開発する必要に迫られた。
そしてこの度、省メモリ化を実現した新たなアルゴリズムが生まれたのである。このアルゴリズムを導入すれば次世代スパコンを用いた脳全体のシミュレーションが可能になるほか、従来のスパコンによる脳シミュレーションも大幅に高速化できるという。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)
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