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ロングヒットに続き連ドラ化も!「この世界の片隅に」が心を揺さぶる理由
■未だに話題の絶えないアニメ映画「この世界の片隅に」
2016年のアニメ映画といえば「君の名は。」を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、その同時期に上映がスタートし、未だに人気が衰えないアニメ映画がある。それが「この世界の片隅に」だ。
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この映画は第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代の同名コミックをクラウドファンディングで映画化したもの。真摯に日本が経験した「戦争」を描き切った漫画を見事映像化しており、15週連続で興行ランキングのトップ10入りを果たした。さらには第90回キネマ旬報トップテンでアニメーション作品1位を獲得し、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門で審査員賞を受賞。
そして、2018年には連ドラ化も決定。これだけ日本人の心を打つ漫画・アニメ映画も多くないが、その魅力はどこにあるのだろうか。
■「この世界の片隅に」のあらすじ
昭和10年頃、広島の江波に住んでいたすず。空想するのが何よりも好きで、それを絵に表現するのが得意である。しかし、彼女が生きた時代は第二次世界大戦の真っ只中で、絵を描くよりも家の家事手伝いに勤しむ必要があった。
さらに戦争が激しくなっていく中、すずは18歳という若さで広島・呉に住んでいる北條周作の家に嫁ぐことになる。不器用なすずはやることなすこと失敗が続き、小姑に小言を言われながら生活する。頭に10円ハゲができるほどストレスを感じながらも、持ち前のユーモアとアイデアで周りの人に徐々に受け入れられることになる。
なんとか周作や家族にも慣れていく中、日本が劣勢となることですずたちの日常生活にも影響が出てくる。それでも懸命に生き抜こうとする中、呉も空襲の標的となってしまう。すずも空襲に見舞われることになるが、目の前で義姉の娘に当たる晴美が死んでしまう光景を目の当たりにする。さらに、自身もその影響で右手を失うことになる。
多くのものを失いながらも、すずは戦争の中で生きることを止めなかった。しかし、そんな彼女を襲ったのは死という恐怖ではなく、敗北によって明らかになる「戦争」の真実の姿だった
■一般市民が経験した本当の「戦争」とは
「この世界の片隅に」は戦争に参加した兵士でもなく、政治家の話でもない。いたって普通の人間が第二次世界大戦の中で生き抜く姿を描き切った作品だ。戦争と聞けば「つらいね」や「悲しいね」という言葉をつい口走ってしまいそうになるが、「この世界の片隅に」にはそうした感想は似合わない。
すずはたまたま第二次世界大戦中に生まれ、たまたま周作と出会い、その中で呉で生きたことを選んだ。「この世界の片隅に」はあくまでも、彼女の何気ない人生が描かれている。そんな一般の人が感じた「戦争」を描くからこそ、なぜ「戦争」というものが二度と起こってはいけないのか我々の心自身が危機感として感じ取れる。
大ヒットもうなづけるクオリティの「この世界の片隅に」だが、2018年には連ドラ化も決定している。まだキャストや制作陣の情報は少ないが、どのようにドラマ化するのか今から楽しみである。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る)
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