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英国がTPPに参加を検討と報じられる
TPP参加予定国の略地図。[写真拡大]
2019年3月にEU(欧州連合)から離脱することが既に決定している英国が、日本など11カ国が結成する環太平洋経済連携協定(TPP)への参画を企図し、検討に入った、と英紙フィナンシャル・タイムズの電子版が報じた。
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言うまでもなく英国は太平洋からは著しく遠い、全く地理的には離れた国であるが、ハンズ通商政策担当閣外相はフィナンシャル・タイムズ紙の取材に対し、「多国間協定に、地理的な制約は必要ない」と述べたという。
TPPが今日までに辿ってきた経緯は複雑怪奇である。まず、そもそも現状はどうなっているのか。現段階で、TPPは発効していない。アメリカが離脱を決定したからだ。なぜアメリカが離脱すると発効されないかというと、既存の規定はアメリカの参加を前提としたものであり、新たな協定の策定を行わなければ効力のある規定にならないからである。
そういうわけで、アメリカの離脱後に残った11カ国が、まだ調整を続けているという現状にある。
ちなみに、歴史をその起源まで遡ると、TPPのもとになったものはシンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランドによる経済連携協定(EPA)、TPSEPである。これは2006年に発効している。内容は関税の撤廃などである。
これにアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーなどを加えるという交渉が起こったのが2010年で、TPP交渉の実質的な始まりはこの時点に置かれる。日本も2010年の10月、菅内閣のもとで参加表明を行い、以後交渉のテーブルについている。
さて、英国の動きに対し日本がどう出るかはまだ明らかではないが、既に一部の国は前向きな姿勢を示していると、フィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
メイ英政権はEU離脱ののち多くの国と自由貿易協定(FTA)を結ぶ考えを示しているので、TPP参加もその一環になるとは考えられるが、果たして、英国の参加による世界的規模の新たな連携協定は日の目を見ることになるのであろうか。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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