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コオロギは「驚き」を感じる―予測誤差理論の罰による学習への適用
匂いを探索するフタホシコオロギ。(画像:北海道大学発表資料より)[写真拡大]
コオロギは「驚き」を感じる能力を持つ、という事実を、北海道大学の研究グループが証明した。この事実は、驚き、すなわち「予測誤差」の学習が、罰による学習においても生じるということを証明するものである。
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この研究は、実際のところコオロギが驚きの感情を持っているか、という問題をメインテーマとしたものではない。主な研究上の問題は、「連合学習における予測誤差」である。
予測誤差理論では、学習は予想しなかった現象が起きたときに生じる、とされている。逆に言えば予想した通りのことが起きただけのときには何も学習されないという理論である。
さて、報酬(美味しい食物の獲得など)に関する学習は、予測誤差が関与しており、ドーパミンが関与していることが既に明らかになっている。問題は、罰の学習でも同じ理論が適用できるかどうか、であった。
今回の研究には、高い学習能力を持つコオロギの仲間、フタホシコオロギが用いられた。彼らは、ある匂いと罰(塩水)の提示を2回繰り返しただけで、その匂いを避けるようになる。問題は、これは予測誤差による学習なのかどうかだ。
研究手法としては、研究グループが独自に考案した「オートブロッキング」という手続きが用いられた。オートブロッキングとは、学習が成立する際にニューロンからの情報伝達を阻害すると学習が成立しなくなる、という手続きのことである。
研究の結論としては、コオロギの学習は予測誤差理論によって説明可能であり、また同時に、ほかのいくつかの対抗理論によっては説明できないものである、ということが明らかにされた。
今後の展望としては、今回得られた学習に関する知見が、ヒトの脳においても適用可能であるかどうか、が重要な問題になると考えられる。
なお、研究の詳細は、Scientific Reportsにオンライン公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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