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エネルギーを地産地消 世界でも注目される「マイクログリッド」の街
パナホームは、同社が開発を進めるスマートシティ潮芦屋「そらしま」の全117住戸を対象に、エナリス、興銀リース、兵庫県企業庁らと共同でマイクログリッドシステム街づくりに着手する。国内外に向けてのモデルケースとして期待がかかる。[写真拡大]
2011年に発生した東日本大震災を境に、日本各地で災害に強いまちづくりへの取り組みが活発化している。そんな中、電力の自由化を契機に注目されたのが、ネットワーク通信機能を有するスマートメーターなどで電力を管理し、最適化する「スマートグリッド」だ。
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そして、今はその一歩先ともいえる「マイクログリッド」への関心が高まっている。
マイクログリッドとは、電力消費者の近くに小規模な発電施設を設置し、分散型電源を利用することで安定的に電力を供給するという仕組みのことで、これまでのように大規模発電所で多量に作られた電力に頼らず、比較的小規模なコミュニティ間でエネルギー供給源と消費施設を持つエネルギーネットワークだ。
従来の電力供給システムでは、送電線によって家庭や施設などに電力が供給されていたが、長距離を送電する際に多くの電力損失が発生する他、送電の際のCO2の排出など環境への影響も懸念されてきた。また災害時には地域全体が停電になってしまう危険性も指摘されている。しかし、マイクログリッドの場合、エネルギーの地産地消なので、そのリスクは格段に低くなる。供給元から家庭やオフィスまでの距離も短くなるから、電力ロスもほとんどない。さらに、エネルギー供給源に分散型電源である太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などの自然エネルギーを使用したものなら、環境への影響も少なくなる。
もちろん、デメリットもある。自然エネルギーを利用する場合、どうしても天候や気候、地形などの影響を受けやすい。また、小規模のコミュニティの場合、電力供給のピーク時も重なってしまう可能性も高くなる。
マイクログリッドの可能性と課題の克服を目指し、これまでに沖縄県宮古島の南西に位置する「来間島(くりまじま)」での「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」や、九州電力が鹿児島県の離島(黒島、竹島ほか)で、マイクログリッドシステムの実証実験を行ってきた。
そして今年いよいよ、本格的な街づくりへの導入が始まった。
住宅メーカー大手のパナホームは、エネルギー流通情報事業会社のエナリス、大手総合リース会社の興銀リース、兵庫県企業庁と共同で、経済産業省の「平成29年度地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金」の採択を受け、同社が兵庫県芦屋市で開発しているパナホーム スマートシティ潮芦屋「そらしま」においてD4街区の全117住戸を対象とした、マイクログリッドシステム街づくりに2017年10月より着手する。
同プロジェクトでは、パナソニックや芦屋市とも連携し、住宅地での自営線を敷設することにより、住戸間での電力融通を可能とし、街区全体電力の80%以上を太陽光発電で賄う。これにより一括受電や柔軟な電気料金設定が可能となるため、電気料金の20%削減など、住戸オーナーメリットの実現とともに、再生可能エネルギーの最大活用によるCO2削減などの環境問題にも貢献する。心配なのが非常時の対応だが、こちらも系統電力が遮断された場合でも、特定回路で持続的に給電できるようになっている。
また同事業は117戸もの住戸間の双方向電力融通を実現するという点で日本初の試みとなっており、今後の国内展開のモデルケースとしてはもちろん、海外展開を含めたショーケースとしての役割も見込んでいる。実際、スマートシティ潮芦屋「そらしま」はすでに、APEC(アジア太平洋経済協力)の第3回「ESCIベスト・プラクティス・アワード」の「スマートビルディング」部門で金賞を受賞するなど、海外諸国からも高い評価を受けており、今後の展開に期待がもてそうだ。
日本はいうまでもなく地震大国だ。かねてより発生が心配されている南海トラフ地震だけでなく、全国のどこに住んでいても地震災害のリスクはぬぐえない。たとえ直接的な被害は少なくても、ライフラインが分断されてしまう危険はどこにいてもある。住宅を購入する人だけの問題ではなく、国民全体でエネルギー供給システムの見直しを考える時期にきているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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