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IHI、世界初の大型船舶エンジン向けVCR機構開発 燃費とガス排出量を改善
IHIは17日、グループ会社ディーゼル ユナイテッド(DU)と共同で大型舶用低速エンジンの燃費を大きく改善する可変圧縮比機構(VCR機構)を開発したと発表。航行時の燃料費や排ガスを大幅に削減する。
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VCR機構とは圧縮比を変えられるエンジンのことで、この圧縮比が高いほど燃費は良くなる。構造上燃費の改善には限界があった従来のエンジンとは異なり、油圧シリンダをピストン棒下部に組み入れ、燃焼室の容積を調整することにより、エンジン出力に対応した最適圧縮比への自由な変更を可能とした。
VCR機構は大型舶用低速エンジンに用いられ、エンジン出力や使用燃料に最適な圧縮比に調整できる。もし一定の条件下の大型コンテナ船に搭載し、その船速に応じた最適圧縮比を設定したとすれば、年間7,000時間運行した場合最大1億円程度の燃料費が削減される見通し。
さらに、燃費改善に伴うCO2の削減効果も大きい。その削減量は年間約8,800トンで、東京ドーム4個分、一般世帯に換算すれば1,600世帯分に相当する。
また、強化が進んでいる船舶の環境規制の問題もなくなるとされている。船舶関連では窒素酸化物や二酸化炭素、硫黄酸化物の排出率が一定の割合で規制されており、その割合は今後も上昇する予定だ。しかし、電子制御システムの特徴と組み合わせることでその国際規制値はクリアできると見込まれている。
このようにVCR機構搭載の大型舶用エンジンは、エンジン出力や使用する燃料の成分、そして窒素酸化物といった環境規制にも対応して、最適かつ安定した航行をもたらす。1948年から大型舶用低速エンジンの製造を手掛けてきたIHIグループは、これまで蓄積してきた経験と技術を用いてその開発に成功した。
現在IHIとDUは、DU製造の大型舶用低速エンジンのライセンサ、ウィンターツール ガス&ディーゼル社と共に、VCR機構搭載の舶用エンジン商用化に向け取り組んでいる。今後は、早期の製品化を目指すという。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)
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