NXP、車載プラットフォーム刷新 意図は競合への対抗か それとも・・

2017年10月17日 05:24

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S32 Auto Processing Platform(写真:NXP発表資料より)

S32 Auto Processing Platform(写真:NXP発表資料より)[写真拡大]

 NXPは16日、「NXP S32プラットフォーム」を発表した。世界の大手自動車メーカ15社のうち8社が、S32プラットフォームを採用しているという。10倍の性能向上、車載ソフトウェア開発の効率強化、無線通信でのソフトウェアのアップデート(OTA: Over the Air)を特長とする。

【こちらも】ルネサス、車載プラットフォーム「R-Car」が人工感性知能に対応

 車載半導体メーカの雄は、NXP、インフィニオン、ルネサスに加えて、自動運転の人工知能(AI)でNVIDIAが台頭している。何れも車載プラットフォームを構築し、ハードウェアのアーキテクチャでの低消費電力や性能向上を謳った上での、ソフトウェアの高い開発効率やスケーラビリティを訴求点とする。当然ながら、1社のプラットフォームが車載の全ての機能を賄うことはできない。車載アプリケーション毎の優位性があり、複数のプラットフォーマーの半導体やソフトウェアが搭載される。

●NXP S32プラットフォームの特長

 ARMのCPUベースのアーキテクチャで統一し、低消費電力のARM Cortex-M、リアルタイム性に優れたArm Cortex-R、性能に優れたArm Cortex-Aの組合せで、車載要求をカバーするという。各性能レベルで自動車の最高安全レベルのASIL-Dを提供する。このARMベースの基本アーキテクチャを基にした、各機能ドメイン集約型の構成が特長であろう。

 公表されている競合のロードマップ性能ステートメントに基づき、独自に算出した車載安全プラットフォームに対して、10倍の性能であるという。ここで安全と形容していることから、ASIL-DMIPSでのベンチマークと思われる。結果として、ソフトウェアの再利用と併せて、ソフトウェア開発負荷を90%軽減できるのであろう。

 新たなレベルの安全性やセキュリティとして、OTA機能に対応。自動車のライフサイクルの長さを鑑みれば必須な機能でありフトウェアのアップデートとセキュリティを確保するとみられる。

 自動運転に必要な各種のセンシング機能もS32プラットフォームの一部である。これは、先進運転支援システムを視野に入れたAIの重要な機能ではあり、先月には、深層学習用のGPU機能をS32Vとして提供すると発表している。今回の発表には、S32VとS32との関係は明記されていない。

●S32プラットフォームの意図を憶測

 ARMベースでS32プラットフォームを刷新したのであろうことから、同じくARMベースのr-CARプラットフォームを推進するルネサスへの対抗と考えることは、可能であろう。

 NXPも深層学習を支援するが、それに関する記載が少ないことから、NVIDIAへの対抗と考えることは難しいかもしれない。

 最も気になる推測であるクアルコムのNXP買収に向けた車載半導体の強化と考えられるのであろうか。発表の写真を見てみると、プラットフォームは整然と車載のアプリケーション毎に集約型に構成されている。つまり、クアルコムの強みである通信半導体の組み入れを容易にしているようにも見える。

 少ない情報でのこれ以上の憶測は、ミスリーディングになるので控えるが、既に車載プラットフォームを所有していたNXPの今回の発表。素直に読めないのは筆者のみであろうか。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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