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西武HD、訪日外国人に向けて「コト消費」を展開 「体感型」にシフトへ
グランドプリンスホテル高輪で提供している日本庭園でのお茶のお点前。(画像; 西武ホールディングスの発表資料より)[写真拡大]
西武HDは11日、訪日外国人に向けに、体験に価値を見出す「コト消費」に焦点を当てたサービスを展開していくことを発表した。
【こちらも】訪日外国人の消費、17年4-6月期は四半期で過去最高に
国土交通省が発表した17年4月~6月期の訪日外国人の消費動向によると、2回目以上の来訪が62%となり、消費トレンドが「モノ消費」から日本の魅力を体感する「コト消費」にシフトしているという。
西武HDによると、子会社であるプリンスホテルの17年1月~8月の訪日外国人宿泊客数は前年同期比4.7%増の約75万8,000人。同期間のインバウンド売上(室料収入)は13.2%増という。好調なインバウンド需要を生かして、既存の「モノ消費」から、宿泊施設や鉄道などグループの資源を活用できる「コト消費」へと軸足を移していく。
具体的な展開としては、「日本酒飲み比べチケット配布」や浴衣(レンタル)を着ながら和の雰囲気を楽しめるお月見体験、日本の伝統文化である生け花やお抹茶体験などを各施設にて提供していく。
地方での「コト消費」もサポートするため、鉄道による交通手段も充実させていく。西武鉄道では、4月1日より訪日外国人限定の西武鉄道全線が乗り降り自由となる「SEIBU 1day PASS」を発行。4月~9月までの総売上枚数は年間売上目標に対して約50%まで達成し、順調に推移しているという。
その他、滋賀県湖東地方を走る近江鉄道では、「OhmiRail 2Day-Pass」を発行。城跡観光向けに電車・バスが2日間乗り放題になる切符を発売している。
2015年に流行語大賞を受賞した「爆買い」も現在は沈静化し、訪日客1人あたりの旅行支出は減少傾向にあるという。リピーター増加により、日本の文化・歴史を体感したいというニーズへの変化から、旅行大手各社も「コト消費」サービスに注力している。
日本旅行は京都駅構内で着物のレンタルサービスを開始、窓口を大阪や奈良など他都市にも展開していくとしている。阪急交通社は外国の企業向けに、日本の接客などを学べるプログラムを用意している。
一方で、訪日外国人からは「Wifi環境が良くない」、「クレジットカードが使えない」と言った不満も挙がっており、「コト消費」へ向けて早急なインフラ面での改善が望まれている。いずれにせよ「コト消費」は異文化への理解や共感にもつながるため、こうした課題をクリアしたサービスの拡大に期待をしていきたい。
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