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「すっばらしい最終回」として話題!『過保護のカホコ』が伝えたかった肯定力の重要性
主演2人の高畑充希・竹内涼真は非の打ち所がない演技力を見せてくれた『過保護のカホコ』(c)日本テレビ[写真拡大]
■『過保護のカホコ』最終回が自己最高視聴率で終了
夏ドラマ『過保護のカホコ』が9月13日に最終回を迎えた。視聴率は自己最高の14.0%を記録し、最高視聴率は15%超えをマークした。不安要素もあったカホコがラストにて様々な人の心を射止めたのは、強い肯定力にあるように感じた。
【前話は】怒涛の展開を見せる『過保護のカホコ』第9話、視聴は付いてこれてる?
■結婚を許してもらうために奔走するカホコ
カホコ(高畑充希)は初代(三田佳子)の遺言を受け、正高(時任三郎)と泉(黒木瞳)から初(竹内涼真)との結婚を許してもらうために努力することを誓う。その矢先、初代の夫である福士(西岡德馬)が行方不明になってしまうも、衛(佐藤二朗)や環(中島ひろ子)、節(西尾まり)の力を借りて見つけることに成功する。
福士は初代の後を追うとわがままを言いだすが、カホコはその意見を頑なに否定しする。そして、明るい福祉を初代は好きになったと説得し、元の元気な姿を取り戻す。離婚していた衛もカホコの考え方に感化され、環ともう一度幸せな家庭を築くことを約束する。
さらに、節も娘のイト(久保田紗友)から逃げないことを宣言する。カホコもイトを家族の元に戻そうと町中の音楽店を張り込み、彼女がチェロを売ろうとしたところをつかまえる。イトはいい加減カホコや家族に飽き飽きしていたが、カホコは「家族の糸は絶対に切れない」と主張する。心のどこかで音楽を諦められないイトは、チェロを売り払うことを辞める。
■泉の同意を得られないまま結婚式へ
初代の意思を受け継ぎ、どんどん家族をいい方向へ修正していくカホコ。その勢いのまま、カホコは正高の両親である祖父母と叔母の元へ出向き、彼らが開こうとしている託児所で働きたいと申し出る。正高の両親は快くカホコを招き入れるだけでなく、結婚式の準備も引き受けることを約束してくれた。
つい顔がほころぶカホコだったが、未だに母である泉からは結婚を許してもらえなかった。しかし、どうしても予定していた日に結婚式を挙げたかったカホコは、泉のいないまま結婚式に踏み切ることになる。泉のいない結婚式場ではケーキが壊れ、ドレスが破れるなどトラブルが噴出する。事態を重く見た正高は泉に連絡してきてもらうようにお願いする。しかし、それでも泉は式場に向かおうとしなかった。
実は、カホコがこだわった日は泉と正高の結婚記念日だった。正高の発言に驚く泉は、意を決して結婚式場に向かい、娘の晴れ舞台を修正することに成功する。そして、カホコと初は晴れて夫婦となることができた。
■すべてを「肯定」する力に溢れた作品
はじめは無駄と思われる演出や説教臭さなど、懸念材料が多く見えた『過保護のカホコ』。しかし、最終回で見せたカホコは立派な大人というよりも、大きな愛ですべてを「肯定」する力を持った人間というイメージが強かった。
過保護に育てられたカホコだったが、彼女は何に対しても純粋に曇りのない目で物事を見ることに長けていた。そのため、目の前の人が自分らしい生活を送っていないと、カホコはその人生を全力で否定し、その代わりにその人本来の魅力を全力で肯定するのだ。これは昔でいうところの「おせっかい」の精神に近いかもしれない。カホコが家族から愛情をたっぷり注がれたという人生がないと、おそらく身に付かなかったスキルだろう。
「過保護」というキーワードをいい意味で聞くことはほとんどない。しかし、『過保護のカホコ』では過保護でいるカホコを否定せず、むしろその生活環境を生かして人間的に変化していくストーリーを描いた。この肯定力こそが本ドラマの魅力ではないだろうか。
また、本作では「家族」もテーマとなっており、紙面1枚で家族関係を終わらせる風潮への皮肉にもなっていたように感じる。家族との付き合いは、義務ではなく本質はおせっかいではないだろうか。そんなことを思い出させてくれるような作品に感じた。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る)
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