住友電工、独創的新技術創出により売上高3兆円に挑む

2017年8月26日 17:14

印刷

 住友電気工業は23日、高度BS再放送(4K/8K)やケーブルテレビ放送向けの省スペース、省電力型の放送設備を発表した。

【こちらも】日本精工、1兆円企業の基盤固めと新成長領域の確立を目指す

 1897年創業の住友電工は、電線・ケーブルの製造技術をベースに、独創的な新製品、新技術を創出することにより、事業領域を拡大してきた。現在では、自動車、情報通信、エレクトロニクス、環境エネルギー、産業素材の5つのセグメントで、グローバルに事業を展開している。

 創業120周年の節目に当たる今期(2018年3月期)は、中期計画の最終年度でもある。各セグメントの積み重ねにより、過去最高となる売上高3兆円、営業利益1,750億円に挑戦する住友電工の動きを見てみよう。

■前期(2017年3月期)実績

 売上高は2兆8,145億円(前年比96%)と円高や銅価格の下落により減収となった。

 海外売上高比率は59%で前年よりも円高(1ドル120.2円→108.3円、1ユーロ132.6円→118.7円)が進行する中、営業利益は1,505億円(同105%)と増益を確保し、過去最高益を更新した。銅価格の低下分436億円、円高241億円などの減益要因を、コスト削減405億円、自動車・情報通信の拡販による増益355億円などでカバーし、前年比70億円の増益を達成できた。

■今期(2018年3月期)第1四半期(4-6月)実績と通期(2018年3月期)見通し

 第1四半期売上高は7,074億円(同109%)で、今期見通し3兆円(同107%)に対し進捗率24%になっている。

 営業利益は278億円(同131%)で、今期見通し1,750億円(同116%)に対し進捗率16%になっている。今期の為替レートは円高で推移した前期並みの1ドル110円、1ユーロ120円で計画している。

 住友電工を躍進させてきたセグメント別の営業利益を中心に現状と推進策を検討する。

 1.自動車:今期見通し営業利益930億円(同94%)に対し進捗率22%
 
 全社営業利益の53%を稼ぐ主力事業で、高強度アルミハーネス、高速通信用コネクタの拡販、さらに今後発展するEVや自動運転に対応した電装部品など新製品の開発を行う。

 2.情報通信:同240億円(同112%)に対し進捗率11%

 光ファイバ・ケーブル、高速光デバイスなど国内外の堅調な需要を確実につかむ。

 3.エレクトロニクス:同50億円(黒字化159億円改善目標)に対し29億円の改善

 前期赤字になったFCP回路の品質改善・コスト削減、車載市場への対応を行う。

 4.環境エネルギー関連:同240億円(同115%)に対し損失1億円で前年比4億円改善

 大型プロジェクトを遅滞なく推進し、海外の旺盛な海底ケーブル需要を捕捉する。

 5.産業素材関連:同290億円(同141%)に対し、進捗率21%

 焼結部品のグローバル展開、超硬工具の新興国市場や新分野への拡販など材料をコアとしたビジネスモデルを構築。


 毎年1,000億円以上の研究開発費を投じて、技術主導で新事業、新製品の開発を進める住友電工の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事