国民年金納付率、5年連続改善も課題依然多く

2017年7月7日 09:10

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記事提供元:エコノミックニュース

厚生労働省の発表によると、国民年金保険料の納付率が5年連続で上昇し、65%になったとしている。地域別や年代別にも納付率は上昇しているが、地道な収納対策だけでは、目標とする納付率の回復は難しいのが現状と思われる。

厚生労働省の発表によると、国民年金保険料の納付率が5年連続で上昇し、65%になったとしている。地域別や年代別にも納付率は上昇しているが、地道な収納対策だけでは、目標とする納付率の回復は難しいのが現状と思われる。[写真拡大]

 年金制度への不信感からか、納付率が低迷していた国民年金保険料だが、6月30日に厚生労働省から発表された2016年度の国民年金保険料の納付率は65.0%だった。過去最低だった2011年の58.6%から、5年連続で納付率は毎年上昇しており、昨年度は1.7ポイント高くなっている。

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 地域別に見ると、昨年震災で大きな被害の出た熊本県では納付率が下がったが、それ以外のすべての都道府県で納付率が上昇している。最も納付率が高い島根では79.6%、続く富山で77.8%、新潟で77.5%となっている。一方納付率の低いのは、沖縄で47.8%、次いで大阪が55.9%、東京が60.8%の順である。都道府県別の納付率のランキングは毎年大きな変動はなく、上位県は常に上位に下位県は常に下位になっている。

 年代別に見ると、年代別でも全て納付率が上昇しているが、55~59歳までが75.47%と高いのに比べ、25?29歳は54.6%と低く、若者の納付率の向上は難しいのが現状だ。

 国民年金加入者数は1575万人で、前年度と比べると93万人の減少となっている。これは、今まで厚生年金の適用外であったパートや短時間労働者が、昨年10月の法律改正の施行により、国民年金から厚生年金に移行したものと考えられる。

 また、厚生労働省によると、戸別訪問などでの催促の強化や保険料の口座振替など納付しやすい環境整備などが、納付率向上につながったのではないかとしている。

 しかし、納付率が90%前後であった昭和60年ごろに比べると依然低水準であり、年金財政の設計基準である80%の対しても程遠いと言える。未納者の未納理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」(複数回答可)が70%以上となっており、昭和60年ごろの保険料が7000円前後であったのが、今は16000円を超えているので負担が大きいのは確かであろう。納付率は改善されたものの、日本の年金制度はまだまだ課題が山積と言ったところだろうか。(編集担当:久保田雄城)

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