伊藤忠、輸入車販売のヤナセをTOBで子会社化

2017年6月3日 18:47

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

伊藤忠商事が輸入車販売のヤナセをTOBで子会社化することを決定。伊藤忠は既存の国内事業の強化のみならず、海外展開も視野に入れることで、ヤナセの総合的な収益力強化を計画している。

伊藤忠商事が輸入車販売のヤナセをTOBで子会社化することを決定。伊藤忠は既存の国内事業の強化のみならず、海外展開も視野に入れることで、ヤナセの総合的な収益力強化を計画している。[写真拡大]

 伊藤忠商事<8001>が輸入車販売のヤナセ<未上場>をTOBで子会社化することを決定した。

 既に伊藤忠はヤナセ株式の約4割保有の大株主であるが、現在は持ち分法適用会社に留まっている。今回のTOBによる株式追加取得により、ヤナセは伊藤忠の子会社となる。そして今後ヤナセは、伊藤忠グループの企業として事業展開を行うこととなる。

 尚、TOBによる伊藤忠の株式買付代金は約65億円が予定されている。損保会社各社からは約20%の株式取得を合意済みで、TOB後の株主シェア50.1%以上となるような買付を目指すとしている。

 伊藤忠は、2003年2月に第三者割当増資を引き受ける形でヤナセに資本参加済み。その後株式の追加取得を行い、徐々にヤナセへの関与を深めてきたという経緯が存在している。

 ヤナセは日本国内の輸入車販売店として古くから知られているが、近年は海外自動車メーカーが、自前のディーラーを育成しての販売を強化しており、同社の輸入車市場におけるプレゼンスは低下している。しかしながら国内において、国産車の販売は低迷の一方で、輸入車販売は好調を維持している。このタイミングでヤナセは伊藤忠グループ傘下となることで、伊藤忠グループの総合力をバックに再度輸入車市場内に対するプレゼンス引き上げを図る計画である。

 また伊藤忠の海外ネットワーク活用も可能となることで、これまで手付かずであった海外展開も視野に入れている。伊藤忠は既存事業を展開している国内の強化のみならず、海外展開も視野に入れることで、ヤナセの総合的な収益力強化を計画している。

 総合商社の自動車事業としては、三菱商事<8058>と三菱自動車<7211>の協業関係が知られている。ヤナセは輸入車販売会社であり、三菱自動車のような自動車メーカーとは立ち位置が異なっている。しかしながら販売力を有している伊藤忠が、今後どのようにヤナセを支援し事業展開を行うのか、総合商社の自動車事業展開のモデルケースとなりうる可能性を秘めており、注目を浴びることになりそうだ。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
【総合商社の2017年3月期決算】資源価格の回復で「暗黒時代」に別れを告げた。だが「黄金時代」は、まだ遠い
ロシアに進出している日本企業は314社 最多は「製造業」
三菱商事、ローソン子会社化へ 3位転落から這い上がれるか
イギリスのEU離脱の影響いかに? 約1割の企業がイギリスまたはEU加盟国と関わりを持つ
【総合商社の2016年4~6月期決算】前年同期比で原油も銅も2割安。ドル円が13円も円高では大幅減益もやむなし

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事