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ビットコイン普及による影響は?銀行を揺るがすか
5月22日付の日本経済新聞は「ビットコイン広がる用途 誕生8年、国内30万店に」の見出しで仮想通貨についての話題を掲載している。
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主な内容は、外食・小売店舗での利用増加に加えて公共料金の支払いも広がりつつあること、金融業界が関連技術の取り込みを狙っていること、不動産や貿易業務で関連技術であるブロックチェーンを活用した情報管理の推進が予想されること、22日に最高値をつけたこと等で、 2017年度中には国内でビットコインを受け付ける店舗が30万店を超えるとのビットコイン取引所の財務責任者の見通しも加えられている。
インターネットの黎明期にネットショッピングの可能性が論じられた頃、大きな可能性を感じて行動に移した少数の人と、そうでない大多数の人との行動には大きな違いが発生した。可能性を感じた人々の中からは、アマゾンや楽天が生まれ、流通の大転換につながったことは言うまでもなく、情報への感性と変化への対応力を持つ人が全く新しい流通の形態を生み出した。
ではビットコインで何が変わるのか?
日本ではマウント・ゴックスの代表者による詐欺事件が発生したためビットコインそのものへのマイナスイメージが付きまとうが、社会で報じられる事象を見ていると世界的にはビットコインは普及期に入りつつあると考えられる。
もちろん社会に根付くまでには良い事例が見出されたり、悪い事例が報道されたりすることとなるが、大きなポイントの一つと考えられるのがビットコインによる即時・手数料ゼロの送金である。
銀行の手数料を三井住友銀行の平成29年3月期有価証券報告書で見てみると、連結決算の当期純利益が7,457億円であるのに対して、内国為替業務による収益は1,164億円(内国為替業務に係る費用292億円が別途発生している)となっている。内国為替の中には手形の取立ても含まれており内訳は不明であるが大方は振込手数料であると思われる。つまり当期純利益の10%前後は振込手数料収入が占めていることになる。
他の金融機関も同様であり、ビットコインの普及につれて振込件数が減少することになれば、利ザヤを稼げずに苦しんでいる金融機関の収益環境は、一段と悪化することが懸念される。
※文中の「ビットコイン」は仮想通貨全体をイメージするための表現であり、特定の通貨の利用促進を意図したものではありません。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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