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漫画がなくなる? 週刊少年ジャンプ200万部割れ
日本雑誌協会が16日に発表した1~3月の印刷部数によると、集英社の人気漫画雑誌、『週刊少年ジャンプ』の印刷部数が、190万部強となり、全盛期の3分の1に落ち込んだことが明らかになった。
これがジャンプだけの問題なら、編集部の落ち度ということにもなるだろうが、ライバル視である『週刊少年マガジン』(講談社)も100万部割れ、『週刊少年サンデー』(小学館)にいたっては30万部強しか出ていない状況であり、少年漫画御三家がすべて大幅な部数減に苦しんでいる状況だ。
ウェブのほうの売り上げがどの程度補てんされるのか、現時点ではデータはないが、無料配信サイトが乱立し、さらには違法な海賊版サイトもあることから、売り上げ的には苦戦は免れないところだろう。
それぞれの編集部も頭が痛いだろうが、この漫画不況のしわ寄せが直撃しているのが漫画家本人である。
これまで、週刊漫画雑誌の原稿料は、30年前とほとんど変わっていない。新人漫画家の場合など、1Pあたり1万円もらえればいい方で、5000円なんていう場合もある。
それでも、単行本になれば、大きな印税が見込めるということで、夢のある職業ではあったのだが、連載雑誌の売り上げが落ちれば、その連載の単行本も部数は下がっていく。かつては、漫画単行本の場合、初版(最初に印刷する部数)が1万を割ることは滅多になかったが、現在は8000部スタート、場合によっては5000部スタートなんていう作品も珍しくはない。
そうなると、独身者ならともかく、妻子を養うには、生活するのも苦しい状況となる。これまでは、アシスタントを使って漫画を仕上げていたが、そのための人件費が厳しくなり、パソコンを使って浮かせるなど、漫画家のほうも必死で対応をしているが、先細りは明らかだ。
現実に、この5年で、断筆、引退した漫画家(単行本を出している漫画家)は、筆者が知る限り20人は超えている。連載が打ち切りになり、その後作品が出せないでいるセミリタイア状態の漫画家はもっといるだろう。
メディアミックスの波にのって、漫画がアニメへ、アニメが映画へ、あるいはドラマやゲームへと転がれば、それなりに成功者といえるだろうが、最初からまずは「漫画」で生活できるくらいの収入がおぼつかないようでは、将来を担う有望な新人作家など育てることはできなくなる。
漫画業界が、まずは正常な「商取引の環境」を取り戻すことが、漫画界復活の最低条件になるのではないだろうか?(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る)
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