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シリアで化学兵器が使用された疑い 米、対アサド政権方針転換を示唆
国際的NGO団体で、戦災下の市民への医療ボランティアを行っている「国境なき医師団」が、内戦が続くシリアにおいて、「4月4日の空爆において、化学兵器が使用された疑いが強い」と報告した。これを受け、5日、国連安全保障理事会は緊急会合を開催。アメリカはこれを「アサド政権による化学兵器の使用である」と断定、アサド政権ならびにこれを後援するロシアを強く非難し、これまで「対イスラム国」を優先するためにその存続を図る方針をとってきたアサド政権に対する外交方針を大きく転換する可能性を示唆、波紋が広がっている。
まず国境なき医師団の報告を見てみよう。4月4日に、ハンシャイフンという町に対し空爆が行われ、その被害者が、国境なき医師団が活動しているシリア・イドリブ県(トルコ国境に近いあたり)のバブ・アル・ハワ病院に運び込まれた。その患者たちが、サリンガス(日本人にとっては忘れがたき呪われた名、あの猛毒サリンである)並びに塩素系ガス、恐らくは2種類の化学物質に暴露したことが強く疑われる症状を示しているという。
また、日本テレビなどの報道によると、この攻撃によって、少なくとも70人を越える犠牲者が出ているとのこと。
アサド政権は「化学兵器など所持していない」として関与を否定しており、ロシアは、「一介のNGO団体の報告を信用するべきではない」と批判的な見解を示している。
しかし、トランプ大統領は、「(シリアとアサド大統領は)一線を越えた。いくつもの一線を越えてしまった。私の彼らに対する見解は変わった」と発言。これまで静観していたアサド政権に対する、新しいアプローチをとる可能性を示した。
また、国連の下部組織であるユニセフも、化学兵器の使用が事実であるなら「この破壊的な暴力を止めることのできる力を持った存在は、ただ憤慨するだけでなく、行動しなければならない」との見解を示している。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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