自分が面白いと思わないと、その仕事は難しい

2017年3月16日 12:05

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 先日見ていたテレビで、成功者となって自分がもっとも尊敬、影響をうけた人物を語るという番組を放送していました。そこで、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の作者である漫画家の秋本治さんは、同じ漫画家の望月三起也との話を紹介していました。

 望月さんの作品に、戦場カメラマンを描いたものがあり、その主人公が戦場カメラマンは普通使わないというカメラのブランドが描かれていることを、初めて直接対面して尋ねたときの答えが、自分にとってとても大きな一言だったそうです。
 その答えは「そりゃ、僕が好きだからだよ」だったそうで、「自分が面白いと思わないものなんか、書きたくないじゃない?」と言われ、自分が好きなもの、面白いと思うものを書いていこうと思うきっかけになったそうです。そんなわけで、秋本さんの作品には、ご自分の趣味に関わるものや興味のあるものが多数登場するようです。

 私が特に共感したのは、この「自分が面白いと思うもの」というところでした。
 私自身、自分の仕事に対して、もちろん大変なことや辛いことはありますが、今はそれらも含めて「面白い」と思ってやっています。そう思うようになったのは自分が独立してからのことで、具体的に何が面白いかと明確に言えないこともありますが、たぶん今のような仕事内容とワークスタイルが、いろいろな面で自分には合っていたのだと思います。

 ここ最近、「仕事が面白くない」「やりがいがない」という相談を何人かの人から受けました。
 「辞めたいが、辞めても良い方向になるかわからない」「転職は大変だし、うまく行くかわからない」「そもそもやりがいのある仕事なんて思い浮かばない」などと言う話があり、結果としてはすべての人が「仕事はそんなものだと割り切って続ける」ということでした。

 ただ、この話を聞いていて思うのは、「面白くないことを続けるのは大変だしつらいだろうな」ということです。「仕事はそもそも面白くないもの」「憂鬱だからこそ仕事」などという話はありますが、ごく一部分であったとしても、趣味と実益が合致するならば、それに越したことはありません。

 相談された人たちに私から言ったのは、「どんなに小さなことでも、何か仕事とつながっている楽しみを見つけよう」ということでした。直接の仕事上のことで見つけられれば良いですが、そうでなくても、例えば仕事帰りに毎日飲みに行くでも、好みの異性や友達と会えるでも、何でもいいと思います。

 仕事中毒になる必要はありませんが、実際に面白さを見つけることは、またなかなか難しいことなのかもしれません。
 それでも、仕事がつまらなそうな人があまりにも増えてしまうことは、決していいことではないと思っています。ほんの少しだけでよいから、仕事の面白さを見つけてほしいです。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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