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高速増殖炉もんじゅ、政府が廃炉を正式決定
政府は21日午後、原子力関係閣僚会議において、かねてより存廃が論議の的となっていた福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉処分とすることを決定した。技術上の問題から、廃炉の完了までは今後約30年かかる見込み。
もんじゅについては、既に今年9月廃炉を含めた見直し案について「年内に最終決定する」という話がまとまっており、それが今回正式に結論付けられた形だ。
もんじゅを含む高速増殖炉とは、「発電すればするほど、消費する燃料よりも産出される燃料の方が多くなる(つまり燃料が増殖する)」とされ、かつては夢の技術とされた原子炉である。
しかし、もんじゅは、1994年の臨界以来事故などが相次ぎ、以後今日までの22年間、実際に稼働した日数はわずか250日であった。それに対し、投入された費用は1兆円を超える。とはいえ、着工となれば1980年まで遡る古い事業であり、今となってはもはや誰が責任を取るべきなのかも明確ではない。
まさに夢どころか悪夢の原子炉であったわけだが、あいにく、悪夢はまだ終わってはくれない。今後、廃炉にかかる費用がさらに最低でも3,750億円であるという。しかし、仮に存続させるためには5,400億円の追加投資が必要であり、どちらにせよ袋小路である。
翻って、日本以外での高速増殖炉の取り組みはどうなったか。かつてアメリカ、フランスなど多くの国が高速増殖炉の研究に乗り出したが、ほとんどが運転停止、廃炉、解体処分の途上にあり、なお実用化に向けた研究を続けているのはほぼロシアのみであるという。
今回、日本にとって唯一救いであると言えるのは、もんじゅと同じナトリウムを使用した原子炉の解体について、日本では初の試みとなるが、フランス、アメリカ、英国などが先行して行っているという点である。原子力機構は、海外の事例を参考にしつつ、今後もんじゅの解体を進めていくという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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