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訪日外国人客のインバウンド市場、15年は前年比83.9%増の1兆4849億円
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矢野経済研究所では、国内のインバウンド市場の調査を実施した。調査期間は2016年1月~9月、調査対象は百貨店、ブランド企業、その他小売業など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。
調査では、2003年から2015年までの訪日外国人客数に関するデータを国別の人口や旅行トレンド、経済的背景などを基に分析し、2020年までの訪日外国人客数の予測を行った。2015年の加熱した状況から2016年は落ち着きが見えつつあり、世界情勢、経済情勢、為替動向などを考慮すると、トレンドとしては徐々に穏やかなものになっていくと推測している。日本政府は2020年の訪日外国人客数4,000万人を新たな目標として掲げ、発給ビザ緩和をはじめ、様々な対策を講じてくるはずである。今後は大幅な増加というよりも、安定した訪日外国人客数が見込める状況になることが期待され、その意味ではリピーターの増加が鍵を握るものと考えるとしている。
2020年の訪日外国人客数は、国内の経済環境、市場環境がある程度継続するという前提で、特に中国をはじめとするアジア地域からの訪日客数が順調に拡大するものと想定し、2015年の約1.9倍となる3,679万人に達すると予測している。
訪日外国人客によるインバウンド市場(物品購入のみ、宿泊費や交通費は含まない)は、2011年以降拡大が続いており、2015年の市場規模は、前年比83.9%増の1兆4,849億円であった。2015年は、訪日外国人客数の急増もさることながら、消費金額はその伸びを上回る拡大を見せる結果となった。
2014年から2015年の市場規模が大幅に拡大した背景としては、円安の進行により、まとめ買いなどをする外国人が増加したこと、2014年10月に行われた免税対象商品枠の拡大等が寄与していると思われるとしている。また、圧倒的に消費金額の高い中国人訪日客数の伸びも重なり、さらなる市場規模の押し上げに繋がったものと考えるとしている。
2016年は、訪日外国人客数自体は2016年9月までの状況から前年をさらに上回ると推測されるが、インバウンド市場規模に関しては一旦縮小が見込まれるという。これは、中国での関税の取り締まり強化など、中国政府が政策的な面を強化してきたことにより、代理購入や業者購入といったまとめ買い行動(爆買い)が見られなくなったことで、1人当たりの購買単価が大きく落ち込むことがその要因になるという。
ただ、2017年以降は、1人当たりの購買単価こそ2016年の水準が継続すると思われるが、訪日外国人客数の増加が大きく、市場規模としては再び拡大傾向に向かうとみられ、2020年には2015年の約1.3倍となる1兆8,764億円を予測する。但し、為替相場、株価、そして各国の経済情勢によっては、2兆円という大台に乗る可能性も十分にあるとみるとしている。(編集担当:慶尾六郎)
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