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「エコカー減税」段階的に厳格化、2年延長へ
20年度燃費基準を40%以上達成しているのはトヨタの「アクア」やホンダの「フィットHV」、日産の「ノート」などだ[写真拡大]
政府・与党がまとめた税制改正大綱で、燃費性能の良い自動車の税負担を軽くする「エコカー減税」を2018年度まで段階的に厳格化することが正式決定された。エコカー減税は今年度末で制度が期限切れとなるため2年延長するかたちになる。来年度は対象となる車種を新車の約8割とし、18年度には対象を約7割に絞り込む方針だ。
エコカー減税とは、自動車を購入した時に支払う自動車取得税(地方税)と車検の際に支払う自動車重量税(国税)が軽減されるもの。現行制度では「15年度燃費基準」を5%上回っていれば減税対象となり、なんと新車の約9割が減税対象となっている。そのため財務省や地方税を所管する総務省、税収に悩む地方自治体などが「燃費性能の高い車を優遇する制度の趣旨に沿っていない」と厳格化を求めていた。
今回の改正では、17年度からの新車は15年度基準を10%上回らなければ減税にはならなくなる。さらに18年度新車は現在よりも厳しい「20年度燃費基準」を達成していないと対象にならない。これによって減税の対象車は現在の9割から17年度は8割、18年度は7割まで絞られる見込みだ。すぐに絞り込まないのは「国内市場の販売動向を考慮したほうがいい」という経済産業省や自動車業界の慎重な意見を反映させたためだ。産業の裾野が広い自動車産業は景気への影響が大きく、急激な絞り込みはリスクが高いという見方も強かったのだ。最近のガソリン価格の上昇傾向も考慮されたとみられる。
もう一点、自動車の所有者が地方自治体に支払う自動車税と軽自動車税についても購入した翌年度に税を軽減する「グリーン化特例」の基準を厳しくする。自動車税軽減の現在の対象は「15年度基準を20%上回る」車だが、17年度からは「20年度基準を10%上回る」と対象を絞りこんだ上で2年延長する。クリーンディーゼル車の非課税措置は継続する。
減税の条件が全体的に厳しくなった今回の税制改正。このままでは税負担が増える車種が多くなるため、自動車メーカーはさらなる燃費改良を求められそうだ。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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