NAFTA経済圏に日系拠点5,931、トランプ氏選出で世界戦略の見直しも

2016年11月26日 17:32

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記事提供元:エコノミックニュース

 ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任を前に、日本経済への影響に注目が集まっている。同氏は「アメリカ第一主義」を掲げ、通商協定の見直しを明言してきた。なかでも、アメリカ、カナダ、メキシコによる「北米自由貿易協定(NAFTA)」は域内貿易額が大きいため3カ国の経済にとどまらず、動向次第では域内へ進出している企業活動にも影響を及ぼす可能性がある。

 

 東京商工リサーチは、独自に保有する国内企業データベースと世界最大級の企業データベースを持つDun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート、本社・米国)の海外企業データベースを活用し、日系企業のNAFTA経済圏(アメリカ、カナダ、メキシコ)への進出状況を調査した。この結果、NAFTA経済圏には1,919社の日系企業が進出し、5,931拠点を展開していることがわかった。進出拠点は製造業が最も多く、自動車関連業種の比率が高い。今後、NAFTAの見直しや関税引き上げが実施された場合、日系企業は世界戦略の見直しや再構築を迫られる可能性があり、日本経済にも大きな影響が及びそうだとしている。

 NAFTA経済圏には日系企業が5,931拠点を構えている。国別では、アメリカが5,010拠点(構成比84.4%)、カナダが392拠点(同6.6%)、メキシコが529拠点(同8.9%)だった。

 5,931拠点のうち、最多は製造業の2,047拠点(構成比34.5%)。卸売業の1,628拠点(同27.4%)、サービス業989拠点(同16.6%)と続く。また、メキシコの529拠点のうち、製造業の占める割合は約5割(256拠点、構成比48.3%)に及んでいる。

 5,931拠点のうち、産業を細分化した業種別でみると、最多は産業用機械器具卸売業の229拠点(構成比3.8%)だった。メキシコは529拠点のうち、自動車部品、付属品製造業が最も多く約1割(62拠点、構成比11.7%)に及んでいる。

 5,931拠点の支配権最上位企業は1,919社(国ごとの重複を排除)で、日系企業の拠点は1社当たり3.0拠点だった。

 国別では、アメリカに進出している企業は1,853社で、支配権最上位企業の本社地は東京都が最も多く912社。メキシコへの進出は288社で、本社地の最多は東京都の135社。カナダへは262社が進出しており、そのうち134社が東京都に本社を構える。

 トランプ氏の次期大統領への就任が決まった11月9日以降、メキシコペソが一時1ドル=21ペソを突破した。ペソ急落は、NAFTAの見直しでアメリカ向け輸出で関税の優遇措置を受けているメキシコ国内企業や同国に進出している企業に影響が広がるとの懸念が広がったためだ。

 足元で為替は1ドル=113円まで円安に転じているものの、国内企業も対岸の火事ではない。11月14日にトヨタ自動車が2019年に稼働を予定しているメキシコ新工場の起工式を開いた。メキシコには日産自動車や本田技研工業、マツダなどの日系自動車メーカーが進出し、関連業者も日本から現地に進出し工場などの拠点を構えている。

 自動車産業のサプライチェーンは重層的、かつ広域に及んでおり、2011年の東日本大震災では世界規模の生産ストップが起きた。メキシコでの生産計画に支障が生じた場合、NAFTA経済圏に直接進出していない日本国内の中小企業にも影響が波及しかねない。トランプ氏の大統領への就任後は、為替やNAFTAだけでなく、あらゆる変化を注意深く見守ることが必要だとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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