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職場での障害者虐待は小規模事業所で多発――厚労省
虐待種別ごとの通報・届出の対象となった障害者の人数を示すグラフ。厚生労働省 平成27年度「使用者による障害者虐待の状況等」をもとに編集部で作成。※虐待種別は重複している場合がある。経済的虐待は、2015度から件数の計上方法を変更したことが増加の主な要因となっている。[写真拡大]
厚生労働省は、障害者を雇用する事業主や職場の上司らによる2015年度の虐待状況を公表、小規模事業所で多発している現状が浮き彫りになった。
県や労働基準監督署などに通報や届出のあった事業所は1,325カ所で、対象となる障害者は1,926人、虐待が認められた障害者は970人だった。虐待種別は、身体的虐待73人、性的虐待10人、心理的虐待75人、放置等による虐待15人、 経済的虐待855人。虐待を行ったのは519人で、事業主450人、上司50人、その他19人だった。
虐待を行った事業所を業種別に見ると、製造業が192件(37.9%)と最も多く、続いて医療、福祉業が106件(20.9%)、卸売業、小売業が49件(9.7%)だった。規模別では、5~29人の事業所が269(53.1%)と最も多く、50人未満の規模で全体の84.2%を占めた。
具体的には、製造業の知的障害者が、職場の上司を含む同僚3名から、足を蹴られる、髪の毛を引っ張られる、物を投げつけられる、火を消した直後のライターを腕に押し付け火傷させられるなどの暴行を受けたり、小売業の知的障害者が繰り返し体を触られたり、抱きつかれたりした事例があった。また、経済的虐待では、製造業の知的障害者に対し、時給が地域最低賃金を約300円下回っていた例も見られた。
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