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米控訴裁判所、米国の捜査令状では米企業が米国外のサーバーに保存したデータの開示を要求できないとの判断
米連邦第2巡回区控訴裁判所は14日、米国の捜査令状では米企業が米国外のサーバーに保存したデータの開示を求めることはできないとの判断を示した(Microsoft On the Issuesの記事、The Guardianの記事、Ars Technicaの記事、V3.co.ukの記事、判決文: PDF)。
捜査令状は麻薬捜査に関連してStored Communications Act(SCA)に基づいて発付されたもので、Microsoftに対して電子メールサービスのユーザーに関するデータやユーザーが送受信したメッセージの内容などの開示を要求していた。
Microsoftは米国内のサーバーに保存されていたユーザーアカウント情報を開示したが、電子メールの内容についてはアイルランド・ダブリンのサーバーに保存されているとして要求を拒否。米国外のサーバーに保存されたデータに対し、米国の捜査令状は無効だと主張していた。AppleやAT&T、Cisco Systems、Verizon Communicationsなどは、EFFとともにMicrosoftを支持する法廷助言書を提出している。しかし、ニューヨーク南部地区連邦地裁の下級判事は文書提出命令と同様、国外に保存されていても開示する義務があると判断しており、連邦地裁がこれに沿った判決を下したため、Microsoftが上訴していた。
控訴裁判所ではSCAの捜査令状に関する条項は違法捜査からプライバシーを守るためのものであり、米国外への適用を意図したものではないと指摘。そのため、SCAでは米国に拠点を置くサービスプロバイダーが米国外のサーバーに保存したユーザーの電子的通信内容に対し、米裁判所が捜査令状を発行することを認めていないとの判断を示した。Microsoftは既に米国内のサーバーに保存したデータを開示していることから、合法的に要求可能なデータは残されていないとして地裁判決を破棄し、Microsoftへの開示命令を取り消した。また、国外に保存されたユーザーコンテンツの要求に関しては捜査令状を却下するようにとの指示付きで審理を地裁に差し戻している。司法省はこの判決を不服として連邦最高裁への上訴などを検討しているようだ。 スラドのコメントを読む | YROセクション | 犯罪 | マイクロソフト | アメリカ合衆国 | 法廷 | YRO | 通信 | スラッシュバック | プライバシ
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