【第23回香港ファッションウィーク春夏(1)】個性と付加価値で挑む 日本ブランド

2016年7月15日 21:38

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記事提供元:アパレルウェブ

 7月4~7日の4日間にわたり、香港貿易発展局が香港コンベンション&エキシビションセンターで開催したアジア最大のファッション見本市「第23回香港ファッションウィーク春/夏」。18カ国・地域から1万2,000社が出展。68カ国・地域から1万3,000人以上(前回約1万6,000人)のバイヤーが来場した。日本の出展者は8社で、うち5社が初参加だった。過去最高の21社を記録した前回展(2015年7月)のおよそ4割。アパレルブランドに特化した国際見本市「センターステージ」(同局主催)が9月に初開催されることによる出展分散などが推測されるが、出展者からは、国内の市場縮小や消費の鈍化を肌で感じ、活路を見出すきっかけを自由貿易の地・香港で掴みたいという強い姿勢が見られた。バイヤーの取り込みにはやや苦戦したが、アイテムの独自性や徹底したコンセプトの作り込みなど、価格競争に頼らない付加価値を武器にしたブランドが、来場者を引きつけていた。

ブルーブラウン「ブルーブラウン(bluebrown)」

 “ちょっといいねをあなたに”をコンセプトにした大人向けのレディスカジュアル「ブルーブラウン」は、2016春夏デビューの新ブランド。素材の切り替えや落ち感のあるシルエットなど、ひねりの効いたデザインが特徴。「オンにもオフにも着られる点、着心地のよい素材選びにもこだわった」と中村崇志代表。カットソーは1万円代後半のものも多い。「国内が厳しい市況にあるなか、ほかとは違う付加価値を訴求することが大切だと実感している」(同)。長年に渡り国内・海外でのOEM生産を手がけ、2015年に会社設立。香港でのビジネスを長年経験してきたこともあり同見本市への出展を決めた。「アジアに進出するきっかけを作りたい」
http://bluebrown.jp/

クローバーリーフ「ラバーズ レーン 45(LOVERS' LANE 45)」

 前回展(2015年7月)以来2度目の出展となるのが、20~30代をターゲットにしたレディスカジュアル「ラバーズ レーン 45」。日本国内では、アウトレットモールを中心に200店舗に卸販売を行うものの、市場縮小に危機感を感じ、海外に活路を求めた。「中東やヨーロッパへのゲートウェイになり得る香港かシンガポールに絞った」(同社)。2度目の出展となる今回は、“マルチウェイとリバーシブル”をキーワードに、ブランドコンセプトをより明確にした。ジレとしても着られるワンピース、カシュクール風に着られるシャツなどをラインナップ。マレーシアやタイなど東南アジアのバイヤーが興味を示した。「カジュアルからモードまで幅広い提案ができるのが強み。前回の出展からコンタクトを継続しているバイヤーもいて、確度は上がってきている」(同)と話す。カットソー、ブラウスで小売価格3,900~4,900円。
http://www.cloverleaf.co.jp/

三木英加さん「ミキ エイカ(Miki Eika)」

 手編み針を手に、ニットアイテムを作り上げていくパフォーマンスで存在感を放っていたのが、レディスブランド「ミキ エイカ(Miki Eika)」デザイナーの三木英加さん。三木さんは、大阪服装学院のスーパーデザイナー学科(3年)に在籍。ブランド運営をビジネスの場で学ぶ同学科のプログラムの一環として同見本市に参加した。同学科では、コンセプトや価格の設定から商品のディスプレイ、プロモーション、デリバリーに至るまで自ら実践する。今回は、海外市場へのプロモーションや香港の市場調査を行うことを目的だ。

 黒色で統一された今回のコレクションは、“GREEDY TO FREEDOM(自由への欲)”がテーマ。身体を拘束するようなサスペンダーと、それに相反するように長く伸びる装飾は、オクトパス(蛸)をイメージした。「足を切られても再生し、ときには増やすことさえある。どんな状況に置かれても自由に力強く生きる姿は、ブランドのペルソナでもある強い女性たちとも重なる」という。シャツやブラウスで2万円代。素材やデザインによっては、7万~8万円するものもある。「このブランドを買ってくださるのは、お金に余裕がある独身で実家暮らしの女性。こうした設定も細かく決めていく」のだという。

 プロのバイヤーたちを相手に、丁寧にプレゼンテーションを行う三木さん。中国やアルゼンチンなど10社以上のバイヤーとコンタクトが取れた。今回の出展を経て、「価格やプレゼンテーションへの反応を見ることができ、ビジネスに対する意識がより高まった」という。今後の目標は、「日本に帰ったらぜひ個展もやってみたい。母親が絵を描くので、共同で発表するのも面白いかも」。

 杉山晶スーパーデザイナー学科長は、「感度の高いバイヤーの反応も非常によかった。先入観なくクリエーションそのものを評価してくれるのが、海外展示会の魅力でもある」と加えた。
http://miki-eika.com/

トランジット「ミル ブラン(Mille blanc)」「サロン(SALON)」「ケイラ(KAYLA)」

 今回で3回目の出展。値ごろ感とトレンド感を持ち合わせた「ミル ブラン(Mille blanc)」、メイド・イン・ジャパンにこだわった「サロン(SALON)」、シルバー素材を中心にモダンな世界観を表現した「ケイラ(KAYLA)」の3ブランドを出展した。大手のセレクトショップで取り扱いが増えているほか、ファッション誌でも取り上げられるなど、感度の高い女性を中心に人気が上昇している。特に「ミル ブラン」は、アイテムを個装したパッケージが受け、文具店での取り扱いもあるといい、実際、同見本市でも多くのバイヤーが商品を手に取る姿が見られた。「香港での取引先を開拓しながら、アジアへマーケットを広げていきたい」と同社。台湾や香港、欧米への出展経験を持つが、「継続して出展していくことが大事だと考えている」(同)。
http://www.tran-sit.jp/

※この記事はアパレルウェブより提供を受けて配信しています。

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