16年上半期の「チャイナリスク」関連倒産は前年同期比55.0%増の62件

2016年7月10日 17:45

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記事提供元:エコノミックニュース

東京商工リサーチによると、2016年上半期(1-6月)の「チャイナリスク」関連倒産は62件(前年同期比55.0%増)だった。負債総額は489億8,200万円で前年同期から半減(前年同期939億900万円、前年同期比47.8%減)した。2015年4月に江守グループホールディングス(TSR企業コード:600000702、法人番号: 6210001000419、福井県)が負債711億円を抱え東京地裁に民事再生法の適用を申請したが、当期はこれに匹敵する大型倒産は発生せず、大幅に減少した。

 6月の倒産は、件数が8件(前年同月比11.1%減)、負債総額は65億2,300万円(同30.7%増)だった。倒産に集計されない事業停止や法的申請の準備中などの「実質破綻」は2件(前年同月1件)発生した。

 要因別の最多は、中国国内の人件費高騰に伴う製造単価の上昇や為替変動による輸入費用の増大などの「コスト高」で39件(構成比62.9%)だった。次いで、中国の在庫調整に伴う相場下落などの「価格競争」が12件(同19.3%)。中国子会社の受注減などの「中国景気減速」は5件(前年同期1件)で大幅に増加した。

 産業別では、卸売業が35件(前年同期59.0%増)で最多。次いで多かったのは、製造業21件(同31.2%増)だった。

 業種別は、鉄や非鉄金属スクラップ卸売を含む「建築材料,鉱物・金属材料等卸売業」が5件(前年同期3件)発生した。中国の景気減速に伴い鉄鋼相場の変動が大きく、今後は同業種を中心に「中国景気減速」や「価格競争」を要因とする倒産が増えることが懸念されるトシテイル。

 資本金別では、1千万万円以上5千万万円未満が40件(前年同期比48.1%増)が最多。次いで、1百万円以上5百万円未満が8件(同33.3%増)だった。資本金1千万円以上は49件で、前年同期の30件から63.3%増加した。チャイナリスクによる影響は、中規模の資本金以上の企業へも波及している。

 中国指導部は、「供給側(サプライサイド)改革」として設備や在庫などの過剰解消に取り組んでいる。最近は、鉄鋼大手の宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が再編に向けた協議に入ったと報道されている。だが、中国が抱える過剰を短期的に解消することは難しく、在庫や過剰生産分の世界市場への流入は避けられないとの指摘もあるという。

 6月23日(現地時間)にイギリスが国民投票でEU離脱を選択して以降、リスクオフの流れから新興国通貨が軒並み下落し、人民元も対ドルで6.6元台と安値圏での推移が続いている。元安が長期化すると、中国企業の輸出競争力が増し、日本企業が「価格競争」に巻き込まれて倒産に至るケースも懸念される。従来からの「コスト高」を原因とした倒産も落ち着くまでに至っておらず、「チャイナリスク」関連倒産は前年以上の水準で推移する可能性が高いとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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