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【コラム】慎重に考え「悔いのない一票を」
PKO活動で駆けつけ警護や発進準備中の米軍機への給油活動など新たな役割を自衛隊に課す『安保法制』が施行なって初の国政選挙が10日実施される[写真拡大]
PKO活動で駆けつけ警護や発進準備中の米軍機への給油活動など新たな役割を自衛隊に課す『安保法制』が施行なって初の国政選挙が10日実施される。世論を2分してきた案件へ審判を下す選挙にもなる。
民進党や日本共産党、社会民主党、生活の党の4党が参院選挙1人区32の全てで野党統一候補を擁立する構図になった最大の理由はこの安保法制にある。
安倍政権になるまで、自民党政権の下でも、現行憲法において、日本は「集団的自衛権は有するが、現行憲法下では行使できない」との解釈を厳守し、武力を行使しての国際貢献はしない、平和外交手段での国際貢献を貫いてきた。この姿勢が憲法解釈の変更と積極的平和主義の名の下で姿を変えようとしている。
自衛隊の訓練にも安保法制に基づく駆けつけ警護や後方支援を想定し、実弾での訓練機会が増えている。自衛隊の新任務を是とするのか、否か。有権者がどのような判断を下すのか、安保法制を成立させた自民・公明が支持を得るのか、安保法制を是としない野党4党が支持を得るのか。今秋以降の南スーダンでのPKO活動での新たな任務付与に抑制的か、積極的かにも影響すると思われるだけに結果を注視したい。
あわせて自公とともに維新やこころなど憲法改正派が参院で3分の2に達するのかどうかも注視される。自民党やこころなどは、現行憲法はGHQの押しつけによるものとの見方も含め、自主憲法制定を党是としている。憲法9条を改正し、自衛隊を国防軍とし、集団的自衛権をフルで認める内容にすることが、日本の平和と世界貢献を果たすために必要なのかどうか。この選挙は憲法改正を是とするか、否とするかの伏線になる。
安倍総理は安保法制成立時、施行時に、この参院選挙で安保法制の是非を、今年の年頭所感では憲法改正についても国民に問う姿勢を明確にしていた。選挙に入ると「アベノミクスのアクセルをフルに噴かせデフレ脱出か、暗い時期にもどるか」とこれまでの選挙同様に経済を争点に化した。
もともと暗い時期という指摘にも、東日本大震災に加え、世界で類例のない東京電力福島第一原発事故が重なり、未曽有の危機を迎える中で、当時の政権は日本をそこから再興軌道に乗せなければならない時期を重ねてきたことは背景に踏まえなければならない。筆者は民進党支持者でも、アンチ自民でもないが、背景を踏まえた公平な見方は必要だ。
そのうえで、今、最も大事な選択肢は、社会保障でも、保育園でも、労働政策でもないように感じている。
理由は、消費税2%引き上げの再延期同様、社会保障の充実・拡充、保育園・保育士などの充実や待遇改善、労働における同一労働同一賃金、最低賃金引き上げへの取り組みは与野党超えて、幅はあるものの、類似した方向に動いているからだ。
逆に、大きく違うのは、安保法制への考え、憲法改正への考え、原子力発電への考え、TPPへの考えだ。この立ち位置の違いこそ、今後、6年間を国会でつとめる参院議員の選択肢の判断に生かすべきではないか。
中国、ロシア、北朝鮮の動向、米国の動きなど、日本を取り巻く安全保障環境が変化していることへの対応を踏まえて、国民が安保法制や憲法改正への伏線となる選挙に、どのような選択をしていくのか、選挙の結果を注目したい。(編集担当:森高龍二)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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