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NYの視点:【5/31IMM】円買い持ち減少、今週の注目:イエレンFRB議長講演、JOLTS、ドラギECB総裁
*07:20JST NYの視点:【5/31IMM】円買い持ち減少、今週の注目:イエレンFRB議長講演、JOLTS、ドラギECB総裁
シカゴIMM、投機・投資家筋のポジションで5月31日付けのネットの円の買い持ち高は、前週からさらに減少し1月中旬以来で最少となった。
6月14-15日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、連邦準備制度理事会(FRB)がブラックアウト期間に入る前にイエレンFRB議長がフィラデルフィアで経済に関する講演を予定しており、ネガティブサプライズとなった米5月雇用統計を受けた見解に注目が集まる。
米5月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比3.8万人増と、市場予想16.0万人増を大幅に下回りマイナスとなった2010年9月来の低水準となった。4月分の雇用増加数も16万人から12.3万人へ、3月分は20.8万人から18.6万人へそれぞれ下方修正された。2か月で5.9万人の下方修正となる。大手電気通信事業者であるベライゾンのストライキによりおおよそ3.5万人が影響したと見ても依然10万人割れで弱い結果と言える。3ヶ月平均は11.6万人、6ヶ月平均は17万人と、いずれも20万人を下回った。
3ヶ月連続の20万人割れは労働市場の改善ペースが下方に傾斜した証拠、また、ピークをつけたとの意見も少なくない。各月20万人増の雇用を長期間持続することは不可能に近く、年初から雇用市場の拡大ペースが鈍化することは予想されていた。しかし、結果は市場にネガティブショックを与えた。1-3月期の経済の成長ペースは弱く、企業の利益率も低調だった。このため、企業が雇用に慎重になったことは理にかなう。雇用は今まで、人口増加ペースの倍のペースで拡大していた。加えて、ベライゾンのストライキの影響で35000人が影響を受けた。影響された規模としては、2011年8月にやはりベライゾンの45000人の従業員がストライキをしたことにより影響を受けて以来、最大となる。
内容も乏しい。平均時給は市場予想に一致したものの、週平均労働時間は34.4と、4カ月連続で2014年2月来の低水準にとどまった。労働参加率は62.6%と、4月62.8%から低下し年初来で最低。イエレン議長が高止まりしていると懸念を表明したフルタイムでの職を探しているが、臨時職に就いている不完全雇用率も9.7%と高止まりした。
FOMCのメンバーほぼ全員と同じく、イエレン議長は先週のイベントで、「経済の成長が順調に拡大した場合、今後数か月内に追加利上げに踏み切ることが妥当となる可能性」を指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した5月の地区連銀経済報告(ベージュブック)の中でも、全米12地区の経済が緩やかな成長を続けていることが確認された。加えて、雇用のひっ迫や賃金が上昇している兆候も指摘された。
イエレンFRB議長の講演では、5月ベージュブックで示された「雇用のひっ迫や賃金が上昇している兆候」に関する説明や、一方で、ネガティブショックとなった5月の雇用統計を受けた米国の労働市場に関する判断、見通しに焦点が集まる。イエレン議長は長期的な見解が重要でひと月の指標では判断しないとの姿勢を強調し、「労働市場は依然健全」と強調する可能性がある。また、7月の利上げの可能性も除外しないと見られている。米FRBが発表する5月労働市場情勢指数やイエレンFRB議長が好んで使用している4月のJOLT求人指数で労働市場のたるみをさらに探っていく。
日本の消費増税再延期で景気の改善が見込まれ、日銀の追加利下げ観測も後退したため円が上昇しやすい環境となる。
■米5月雇用統計
・非農業部門雇用者数:前月比+3.8万人(予想:+16.0万人、4月:+12.3万人←+16.0万人)
・失業率:4.7%(予想:4.9%、4月:5.0%)
・平均時給:前月比+0.2%(予想:+0.2%、4月:+0.4%←+0.3%)、前年比+2.5%(予想+2.5%、4月+2.5%)
・民間部門雇用者数:前月比+2.5万人(予想+15万人、4月+13万人←+17.1万人)
・週平均労働時間:34.4(予想34.5、4月34.4←34.5)
・労働参加率:62.6%(4月62.8%)
・不完全雇用率:9.7%(4月9.7%)
■イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード
◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
3月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(前回1.3%) 1.4%(下回る)
5月失業率(Unemploynent rate):4.7% 5%
3月求人率(Job openings rate):3.9%(2月3.8%) 3%(上回る)
3月退職率(Quits rate):2.1%(2月2.1%) 2.1%
◎状態が危機前より依然悪い
5月広義の失業率(U-6):9.7%(4月9.7%) 8.8%(上回る)
5月長期失業率:40.8%(4月41.9%) 19.1%(上回る)
5月労働参加率:62.6%(4月62.8%) 66.1%(下回る)
5月雇用者数(Nonfirm payrolls):3.8万人 16.18万人(下回る)
3月採用率(Hires rate):3.7%(2月3.8%) 3.8%(下回る)
■今週の主なイベント
●6−7日:米中戦略・経済対話
●米国
4日:メスター・クリーブランド連銀総裁がマクロ経済、金融安定に関して講演
6日:イエレンFRB議長がフィラデルフィアで講演、ローゼングレン・ボストン連銀総裁がフィンランド、ヘルシンキで講演
●日本
8日:1−3月期国内総生産(GDP)改定値:予想前期比年率+2.0%(速報値+1.7%)、4月国際収支(3月経常収支+2兆9804億円)
9日:中曽日本銀行副総裁講演
●ユーロ圏
9日:ドラギECB総裁が講演
●中国
8日:5月貿易収支:予想+556億ドル(4月+455.6億ドル)、輸出:予想前年比‐4.2%(4月‐1.8%)、輸入:予想前年比‐6.8%(4月‐10.9%)
9日:5月消費者物価指数:予想前年比+2.3%(4月+2.3%)
●地政学的リスク
ウクライナ紛争
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
【IMM】
ネット・円買い持ち:+14,837(5/31)←円買い持ち:+22,059(5/24)(直近ネット円買い持ち最高水準:08年3/25+65,920、04年2/6+64499)(過去最高ネット円売り持ち高:07年6/26-188,077)
*ユーロ
ネット・ユーロ売り持ち:- 37,654(5/31)←ユーロ売り持ち:- 37,895(5/24)(07年5/15:+119,538過去最高買い持ち高、10年2/9-57,152過去最高の売り持ち高)
*ポンド
ネット・ポンド売り持ち:- 32,851(5/31)←ポンド売り持ち:- 32,835(5/24)(07年7/22:直近ネット買い持ち高最高水準+98,366)
*スイスフラン
ネット・スイスフラン買い持ち:+ 129(5/31)←スイスフラン買い持ち:+3,954(5/24)(過去最高スイスフランネット売り持ち高:07年6/19:-79,331)
*加ドル
ネット・加ドル買い持ち:+26,259(5/31)←加ドル売り持ち:+20,047(5/24)(直近ネット買い持ち高最高水準:07年10/12+83001)
*豪ドル
ネット・豪ドル買い持ち: ‐4758(5/31)←豪ドル売り持ち: +124(5/24)《NO》
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