新興市場見通し:決算発表のピーク越え業績面を再評価へ、政策期待も追い風

2016年5月14日 15:07

印刷

記事提供元:フィスコ


*15:07JST 新興市場見通し:決算発表のピーク越え業績面を再評価へ、政策期待も追い風
先週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均ともに上昇した。マザーズ指数は週初に1200ptを回復したが、その後は同水準で一進一退の展開となった。決算発表のピークで、そーせいグループ<4565>など主力銘柄への期待感が株価を下支えした。反面、年初来高値水準で利益確定売りが出やすかったほか、そーせいグループなどで実施されている信用取引に関する規制も株価の重しとして意識された。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.9%であったのに対して、マザーズ指数は+2.3%、日経ジャスダック平均は+2.3%だった。

個別では、そーせいグループが週間で3.3%高、サイバーダイン<7779>が同3.8%高とマザーズ主力銘柄は全般堅調だった。ミクシィ<2121>は決算発表を受けて10.7%高と急伸した。前期業績が市場予想を上回ったほか、自社株買い実施を発表したことなどが好感された。また、マザーズではブランジスタ<6176>の強い値動きが続いたほか、株式分割実施を発表したアクトコール<6064>、好決算のフリークアウト<6094>などが大きく上昇した。反面、インベスターズクラウド<1435>などが軟調。また、決算発表を延期したフィット<1436>、一部証券会社の投資評価引き下げが観測されたメタップス<6172>が急落した。ジャスダック主力では、決算を受けてセプテーニ・HD<4293>が同13.8%高、日本マクドナルドHD<2702>が同8.3%高となる一方、エン・ジャパン<4849>は同9.0%安となった。イリソ電子工業<6908>は今期増益見通しが安心感につながり同30.0%高と急伸した。また、アスコット<3264>が連日の大幅高となったほか、親会社の大崎電気工業<6644>による株式公開買付けが始まった大崎エンジニアリング<6259>、今期大幅増益見通しのハビックス<3895>などの上昇が目立った。一方、利益確定売りに押されたぱど<4833>が大きく下げた。

今週の新興市場は、決算発表のピークを通過し、業績面を再評価する動きが広がりそうだ。マザーズ指数は年初来高値水準で上値の重さが意識されるものの、4月から始まった今期の大幅増益見通しを示した企業や、期中の順調な業績進捗が確認された企業が多く、中小型株への期待感は持続するとみられる。その後は、月末の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)などを控え、政策期待が相場の押し上げ要因となるだろう。

前週末の決算発表で注目されたそーせいグループは、17年3月期の営業利益が170億円(前期は10億円)に拡大する見通しを示しており、おおむね市場予想に沿った内容だった。一部証券会社では不確実性の低いガイダンスとの見方を示している。また、サイバーダインの17年3月期業績予想は非開示だが、市場では黒字転換が見込まれている。なお、今週は5月16日にUBIC<2158>、テクノホライゾン・HD<6629>などが決算発表を予定している。

IPO関連では、ホープ<6195>(6月15日、マザーズ・福証Q-Board)、アトラエ<6194>(6月15日、マザーズ)、農業総合研究所<3541>(6月16日、マザーズ、やまみ<2820>(6月17日、ジャスダック)の新規上場が発表されている。4月21日のジャパンミート<3539>上場以来、IPO空白期間が長かっただけに、投資家の初値買い意欲は高まりそうだ。需給妙味の大きい小型案件や時流に沿ったテーマ性のある銘柄もあり、好調な初値スタートが期待される。《FA》

関連記事