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ハエの「足」にある味覚神経には、「食物の上で止まる」「摂取を促す」2種が存在―東北大・Vladimiros Thoma氏ら
右:食物情報伝達の模式図。同じ甘味を感じる神経細胞でも、肢(あし)から脳へ繋がるものと、腹神経索へ繋がるものではそれぞれ役割が異なる。 左:2種類の甘味受容体神経の顕微鏡写真。食物の摂取をうながす神経(上段:赤)と、食物の上で歩行を抑制する神経(下段:緑)。[写真拡大]
東北大学のVladimiros Thoma大学院生と谷本拓教授らを中心とした研究グループは、ショウジョウバエの「足」にある味覚神経細胞が2つに分類でき、「食物の上で止まる」「食事の摂取を促す」という異なる役割を持つことを明らかにした。この2つが組み合わされることで、効率的な摂食行動につながっているという。
生き物は、毒などの危険物を避けながら、おいしく栄養のあるものを食べ続けることで生きているが、ヒトは口に入れるまで、それがどのような味なのかを知ることはできない。一方、昆虫には、肢(あし)、食道、翅(はね)、産卵器官など、体のさまざまな部分に味を感じる細胞が備わっており、味の情報は、こうした末梢の味覚神経から、脳などの中枢神経へ刺激が伝えられることで処理されている。だが、これらの神経が食行動にどのような作用を及ぼしているのか、全体像はよく分かっていない。
今回の研究では、ショウジョウバエの足にある甘味受容体神経が、2つに分類できることを突き止めた。足から脳へ情報を伝える細胞は、食物を食べ始めるように働きかけ、腹神経索(ヒトの脊髄に相当する器官)へ向かう細胞は、食物を見つけたときの歩行や方向転換をコントロールしていた。この神経ネットワークによって、「足」がエサに触れることでハエの動きが止まり、すぐに食事を始められるという効率的な仕組みが支えられているという。
研究グループは、今回の研究成果が、生物の異なる味覚センサーの機能多様性を研究する上での良いモデル系を提供するとしている。
なお、この内容は「Nature Communications」に掲載された。論文タイトルは、「Functional dissociation in sweet taste receptor neurons between and within taste organs of Drosophila」。
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