福井で2007年に発掘された恐竜の化石、新種だったことが判明

2016年2月29日 22:41

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記事提供元:スラド

caret 曰く、 福井県立恐竜博物館 (FPDM)と福井県立大学は2月26日、同県勝山市北谷町で2007年8月に発掘された小型の獣脚類の化石が、原始的なコエルロサウルス類マニラプトル形類の新属新種の恐竜と判明したと発表した。この恐竜は当初はドロマエオサウルス類と推定されていた(福井県立恐竜博物館の調査研究情報Scientific Reports掲載論文共同通信時事通信)。

 学名はラテン語で「逆説の福井の狩人」を意味するFukuivenator paradoxus(フクイベナートル・パラドクサス)と命名された。「逆説」の由来はこの恐竜の骨の特徴が「意外な組み合わせ」であるから、としている。マニラプトル形類は小型~中型の獣脚類、コエルロサウルス類の一グループで、コエルロサウルス類は鳥類の祖先となったグループ。有名なティラノサウルスもこの中に含まれる。獣脚類は二足歩行を特徴とする恐竜の分類群。

 フクイベナートルは原始的な部分と進化した部分を併せ持っていて、論文の筆頭著者、県立大の東洋一特任教授は「獣脚類が鳥になり始めた頃の一種。フクイベナートルは鳥になり損ねた」と説明している。そのため、恐竜が鳥類に進化する過程の解明が期待できるという。

 フクイベナートルは推定で全長約250cm、体重約25kg。全身に羽毛があり、これまでの獣脚類にはなかった二股に分かれた頸椎が特徴。聴力は現在の鳥類並みに高い一方、肩甲骨や大腿骨の形はコエルロサウルス類の原始的なタイプに似ている。獣脚類の多くは肉食性というのが定説だが、フクイベナートルは首が長く、雑食性と推定される。

 化石は2007年8月に、白亜紀前期 (約1億2000万年前)の地層から同一個体の頭骨や肩甲骨、大腿骨など約160点が見つかった。これは全身の7割以上で、保存状態は極めて良好だという。国内で発見された恐竜の新種はこれで7例目、福井県内では5例目となった。

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