電波停止、時の政権が恣意的運用は「あり得ない」―菅義偉官房長官

2016年2月9日 15:10

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記事提供元:エコノミックニュース

 菅義偉官房長官は9日の記者会見で記者団から「高市早苗総務大臣が8日の国会答弁で(政治的公平性を欠くとして、放送局の)『電波停止などがなされるかどうかは、時の大臣が判断する』としているが、時の政権が恣意的に運用する可能性はないのか」と記者団に問われ、「それはあり得ない」と答え、放送法に基づいて行われると強調した。菅官房長官は8日の高市総務大臣の答弁は「当たり前のことを放送法に順じて答弁したに過ぎない」と答えた。

 これは8日の衆院予算委員会で民主党の奥野総一郎議員が「放送法4条は放送事業者に放送番組の編集に当たり、政治的に公平であることを求めているが、従来の総務省解釈は『特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてバランスのとれたものでなければならない』『基本的には1つの番組というよりは放送事業者の番組全体を見て判断する』というものだった。ところが昨年12月、高市総務大臣は民間団体への回答として従来の見解に以下の説明を付け加えた」と指摘。

 その説明によると、高市大臣は「1つの番組のみでも(1)選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合のように、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合、(2)国論を2分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合」をあげていた。これについて、奥野議員は「従来の政府解釈の変更と受け止める」と強く懸念を示した。

 奥野議員は「総務大臣の権限には放送業務の停止(放送法174条)や無線局の停止(電波法76条)が含まれる。もしこれが恣意的に運用されれば、政権に批判的な番組だという理由でその番組を止めたり、その番組のキャスターを外したりということが起こりうる」とし「放送法4条の違反には、放送法174条や電波法76条を適用しないことを明言してほしい」と質した。

 これに高市大臣は「仮に、改善をしてほしいという要請(=行政指導)をしたが全く改善されないという場合に、それに対して何の対応をしないということを約束するわけにはいかない」などと答えた。奥野議員は、報道の自由を委縮させることにつながりかねないとして、今後も追及していくとしている。(編集担当:森高龍二)

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