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市民が市長を提訴 海老名市立中央図書館はどうなる?
海老名市立中央図書館と同有馬図書館の5年間の指定管理料は約16億円。これは直営時代の倍とされる。中央図書館の平日の来館者数は平均約3000人で週末は約5000人と改装前の約3倍になった。[写真拡大]
先月、神奈川県の海老名市民が市長を相手取り約5億9300万円をある企業に返還させるよう求める訴訟を横浜地裁に起こした。渦中にあるのは、2015年10月にリニューアルオープンした市立中央図書館。カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する蔦屋書店とスターバックスコーヒーを併設した「ツタヤ図書館」として話題を呼んだ一方、「公設ブックカフェ」との批判が絶えない施設だ。
訴えでは、指定管理者(カルチュア・コンビニエンス・クラブと図書館流通センターとの共同企業体)との基本協定を解約し、市が負担した図書館機能以外の改修費など企業側に返還することを求めている。「教育施設である図書館内で民間の営利事業を認めることは違法。従ってそのための改修費用は税金の無駄遣いになる」「改修費用のほぼ全額の約11億円を市が負担しているが、市は特定企業に業務を丸投げし、管理を行わせている」としている。
図書館にカフェを併設している形態については、利用者からも「書店と図書館のスペースの区切りが曖昧で、混乱する」「カフェの商品を買わないと座れない席があるのはいかがなものか」と不便さや不満を訴える声が寄せられている。一方で「普通の図書館と違って静かにしなくていいから、子どもをつれて来やすい」など、親子連れや学生からは好意的な声も寄せられている。
そしてこの施設は、そもそも図書館として不完全であると指摘されている。図書の配置(分類)方法がその代表例だ。一般的に採用されている日本分類十進法ではなく、タイトルのみで振り分けていると思われる、独自の配置なのだ。宮澤賢治の童話「やまなし」が「国内旅行」に、マルタン・モネスティエの「図説食人全書」が「料理」のコーナーにあるというのはSNSでも話題になった。また、選書にも疑念が持たれている。オープン前の図書購入の時点で発行日の古い「中古本」や、入れ墨や風俗街が紹介されている「不適切本」が100冊以上見つかり、8000冊以上をスタッフが目視で確認する事態になった。
文部科学省は、図書館に期待する役割として「地域社会における様々な資料や情報を有効活用できるように供する」ことによって「地域の課題解決やそのための人々の取組への展開を支援する」としている。日本図書館協会は「図書館を設置し図書館サービスを実施すること」が、地方公共団体の責務であるとしている。公立図書館はどうあるべきか。議論は今後も続くが、「ツタヤ図書館」が一石を投じ、広く市民が考えるきっかけとなったのは間違いない。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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